シリア拘束・安田純平氏を「自己責任」と言うのは正しいのか?

 

ジャーナリストには、必要な情報を世界に伝えるという使命があります。自国政府の渡航制限があろうとも、自分の判断で危険を回避しながら取材する立場なのです。

それを、観光客がちょっとした冒険心から危険地帯に入り込み、拘束されるようなケースと同一視して、自己責任論が出るようでは、日本の世論はまだまだ未熟だと言わざるを得ません。

それに、外務省が渡航制限をしている国や地域でも、NGO(非政府組織)などが危険を避けながら人道目的の活動をしていることも知っておく必要があるでしょう。

例えばソマリアですが、外務省が全土について渡航制限(危険情報レベル4の退避勧告が継続)している一方で、私が理事を務めるNGOでは若い女性スタッフがソマリア北部で活動してきました。同じソマリアと言っても、北部のソマリランド、プントランドは別の国と言ってよいほど、一年の大部分にわたって安全な状態が保たれているからです。

それをひとくくりにして危険な国だから全土について渡航制限というのは、自分たちが勤務したくないからだと勘ぐられても致し方ない面があるのです。

そんなことを口の中で呟きながら、安田さんの無事な姿を思い浮かべています。(小川和久)

image by: Facebook(tarik abdul hak)

 

NEWSを疑え!』より一部抜粋

著者/小川和久
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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