なぜ、人工知能関連の話題やニュースが増えたのか?
たぶん、メディア関係者の方々も、なんとなくその重要性に気づいてるのか、最近、Siriと同じような会話機能を持つ、あるいは、Siriを進化させた人工知能に関連した報道も爆発的に増えている。
例えば、今年3月には、米マイクロソフトが公開した学習型人工知能会話ボットのTay(テイ)が大きな話題を呼んだ。
結果的に、世界的なニュースになった。
Tayとは、各種メッセージング・サービス(Kik、GroupMe、Twitterなど)やSNSでフレンドとして追加でき、ユーザーと会話すればするほど、その会話から学習して、理解を深め、賢くなるということを研究するために開発された人工知能チャットボット(Bot)である。
Tayの名前の由来は、
「Technology and Research and Bing divisions」(技術調査及びサーチエンジンのBing部門)という担当部署の頭文字からの略語。
ちなみに、Siriは、
「Speech Interpretation and Recognition Interface」(発話解析・認識インターフェース)の頭文字からの略語。
いかにもアメリカらしいというか、味気ない命名だが、まぁ、それは別にどうでもいい。
で、肝心のこの手の人工知能チャットボットが、会話を通じてどうやって賢くなるのかというと、例えば、以下のような会話の流れから、学習していくらしい。
ユーザー:「アメリカ大統領は誰?」(Who is the president of United States?)
Tay:「分かりません」(I really don’t know.)
ユーザー:「バラク・オバマがアメリカ大統領です」(Barack Obama is the president of United States.)
Tay:「分かって嬉しいです」(Glad to know that.)
ユーザー:「アメリカ大統領は誰?」(Who is the president of United States?)
Tay:「バラク・オバマ」(Barack Obama)
ユーザー:「オバマはアメリカ大統領ですか?」(Is Obama the president of USA?)
Tay:「はい、バラク・オバマはアメリカ大統領です」(Yes, Barack Obama is the president of USA.)
そんなTayが、なんで世界的なニュースになったのかというと、Twitterでの会話を通じ、人種差別や性差別、陰謀論を学習し、放送禁止用語や極めて不適切な発言を連発するようになっちゃって、公開からたった1日で停止することになったため。
上述のような会話の流れで、本当か嘘か、差別的だったり、不適切かそうでないかなど判断せず、極めて素直に学習してしまったかららしい。
また、このTayがたった1日で停止したのに対し、日本のマイクロソフトがLINE(ライン)上の公式アカウントとして公開している「女子高生」設定の学習型人工知能会話ボットの「りんな」ちゃんは、わりと結構、健全にすくすく育ってるというニュースが、日本国内では大きく報じられている。
『「がんばる!」と送ると、「かわいいから頑張れと応援する」と返ってきた。』
などと微笑ましい会話の一部がタイトルになってる記事まであったりする。
〔ご参考〕
●人工知能「りんな」は「かわいいから頑張れ」と応援してくれた
●LINEで人気のAI女子高生「りんな」とみんなの面白会話集