資源の存在から方向転換した中国
中国にいわせるとサンフランシスコ平和条約の前から尖閣は中国のモノだと主張している。沖縄は島津藩に領有されるまでは独立国であったため、中国との往来も頻繁であった。中国が沖縄に行く際の目印の島だと主張してきた。その後も尖閣についてはいろいろといわれてきたが、中国が本格的に領有権を主張し始めたのは尖閣周辺に石油が出ると判明し始めてからである。
1つのポイントとしてはサンフランシスコ平和条約には中国は加わっていないということがある。締結時に全面講和か単独講和か問題となり、結局日本は中国、ソ連、東欧といった社会主義国とは講話を結ばなかった。
事実上棚上げを続けてきたが…
石油の問題が出るまでは尖閣問題を中国も日本もあいまいにしていたが、それ以降に両国とも強く主張し始めた。結局、資源が出てきたことによって無人島にも関わらず領有権が非常に大きな問題となってきた。
これまで田中角栄氏や周恩来氏の話合いを行なった際にも尖閣の話は出たが、「我々の世代では決まらないから、将来決めよう」と棚上げしていた。棚上げという言葉を日本は使用していないが、事実上棚上げしていた。
中国も強引であるが、日本もうまく対応できず、中国の動きをきちんと分析できなかったということもある。
独自主張の領有権
鄧小平氏は棚上げを言いながらも、領海法を制定している。1992年に中国の全国人民代表大会常務委員会は今問題となっている南シナ海を含め、尖閣諸島は自国の領土だと明記した。この際、日本の外務省は口頭で抗議をしたが、きちんとした議論ができておらず、そういう意味でいうと日本もきちんと対応ができていなかったといえる。
中国の動きをきちんと分析できていないことと、気になるのは昨年中国の軍関係者に出回ったというメモの存在。それは尖閣問題の解決という目標を記したもので、その中に「領有権の争いを示す段階は終わった。次は実効支配だ」と記されている。しかしながら、日本政府は「領有権の問題は存在しない」という従来の言い方を続けていることでかえって問題を深刻にしてしまっている。