アベノミクスはなぜ「つまらない金融政策」ばかりになったのか?

 

思うに安倍内閣は経済が最重要といいながら政策は日銀にまかせきりできたとしか思えない。日銀の失敗は、頭だけで考えた経済理論で突っ走っており、企業や消費者の心理などをよく研究していないためと思われる。経済と市場は理屈よりも消費者や企業の心理に左右されないのではないか。

今の消費者は物価が多少安くなったり、おカネが借りやすくなっても消費を増やさないだろう。一番気にしていることは将来の不安なのだ。高齢化に伴う医療費の増大、死ぬまで安心して暮らせる預貯金の額などだ。若者や中年たちはリストラや老後の生活が安心できないのでボーナスがふえてもたとえ金利が低くとも貯金にまわすのだ。

企業も多くは海外展開しているので、円安になっても国内生産を増やそうとはしない。国民や企業の消費意欲、投資を増やしたいならむしろ金利をあげ利回りのよい商品が出回った方が効果的なのではないか。日銀は経済理論だけを重視するのではなく企業や国民の心理も考えて政策を考えて欲しい

(財界 2016年9月20日号 第431回)

image by: 首相官邸

 

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