NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は、大河ドラマにおける「考証」について。歴代の大河ドラマの中でも真田丸の時代考証はしっかりしていると評価されていますが、著者の西股さんは、「大河はエンターテイメントであって、考証はストーリーやキャラのリアリティを担保するためのもので、細かく気にせず素直に楽しめば良い」との持論を展開しています。
今回のワンポイント解説(12月4日)
今回登場した燧石式の馬上筒。もちろん、考証的にはアウトである(笑)。発火に火縄ではなく、 火打ち石(フリントロック)を用いる方式の銃が、この時期の日本に伝来していたとは到底、考えられない。この件は、実はかなり以前からやり取りをしていて、考証上無理があることは制作側も承知している。承知した上で、作劇上の必要からあえて登場させるというわけだ。
僕は別に、それならそれで構わない、と思う。いや、これは決して皮肉で言っているわけではない。なぜなら、今までもこの解説に書いてきたとおり、『真田丸』はドラマであり、ドラマとはエンターテインメントであって、本質的にフィクションだからだ。ストーリーを作るのは三谷さん、番組を作るのはNHKの仕事であって、僕はそれをジャマするつもりはないし、その権利もない。
以前にナワバリンクのコラムにも書いたとおり(9月1日)、タイトルバックに登場する山城からして、実在の城ではない。いろいろな映像を合成して作りだした架空の城であり、本来ならありえない要素を身にまとった姿をしている。つまり、視聴者をフィクションの世界にいざなうための、「伝説の勇者が住む天空の城」なのだ。
たしかに、今年の大河は考証がしっかりしている、と評されてはいる。でも、ドラマにおける考証とは、ストーリーやキャラのリアリティを担保するためのものであって、研究における実証や、ドキュメンタリーにおける裏付けとは、本質的に別物だ。だから、主人公も第1次上田合戦に参戦しているし、「幸村」を名乗っちゃってる。そこが面白くない、気になるという知的欲求水準の高い人は、大河なんか観てないで、専門書を読みましょう。
さて、戦国軍事考証の立場から一つだけ指摘しておくと、燧石式の銃は、火打ち石を金属に打ち付けて発火させるから、火縄銃にくらべて発射時の衝撃が大きく、命中精度が落ちる。馬上筒なら銃身が短いから、余計に精度は落ちる。つまり、狙撃には向かない。ただ、火縄銃よりは馬上での取り回しに適している。そこが、幸村の活躍やストーリーと、どう関わるのか。素直に楽しみたいと思う。(西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
考証的にはアウトだけどドラマ的にはOKなフリントロック式馬上筒。マッチロック式(火縄銃)との違いは…!?(みかめ)
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組
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★イベント情報★
◎12月17日(土)新府城&谷戸城(山梨県)~クラブツーリズム日帰りバスツアー 新府城から真田丸を考える!
新府城は『真田丸』第1回の舞台。谷戸城は、天正壬午の乱における北条軍の野戦築城と考えられる城。二つの城を歩きながら、幸村が真田丸築城に込めた思いと秘密を解き明かします。
旅行代金 15,500 円(昼食付)
コース番号 03337-098 でお問い合わせ下さい。
◎12 月 23 日(金) トークイベント「信繁と幸村の2016 年をふり返る」
第 1 部「今こそ語りたい第2次上田合戦と大坂の陣」…西股総生
第 2 部「サブカルで楽しむ歴史とドラマ」…西股総生・みかめゆきよみ・磯部深雪(予定)
日時 :12月23日(金) 14:00~15:00/15:30~17:00
場所 : 新宿クラブツーリズム(西新宿駅前・新宿アイランドウィングビル)
コース番号
第1部 C2021-912 入場料 1,000 円
第2部 C2022-990 入場料 500 円
◎1月15日(日) クラブツーリズム 小倉城(埼玉県)~日帰り現地集合・現地解散
戦国の石積みで知られる小倉城ですが、占地と縄張りの意味を読み解きながら、いつ・誰がこの場所に城を築いたのか、考えます。山歩きのできる靴と服装でご参加下さい。
旅行代金 5,500 円
コース番号 03339-098 でお問い合わせ下さい
★『図解・戦国の城がいちばんよくわかる本』 KK ベストセラーズから発売中
★『復元イラストで見る「東国の城」の進化と歴史』河出書房新社から発売中
★『真田丸』がより一層楽しめる4コマ漫画、『ふぅ〜ん、真田丸』発売中
今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
「戦が起きるときは誰も止めることができぬ」
ああ…石田三成さんの言葉を真田幸村が反芻している…#真田丸— ぬえ (@yosinotennin) 2016年12月4日
サイコロ用意しなきゃ…#真田丸 #真田丸どうでしょう pic.twitter.com/6e1NlRzPcD
— 親衛隊長✠ツイゲンシュタイン✠ (@NSDAP_SS) 2016年12月4日
利休の刻印がこんなところにまで活かされてくるとは…! #真田丸 #丸絵
それはともかく、土の中から出てくる特殊武器とかすごくゲームっぽいですな(笑)。 pic.twitter.com/Mx7KjPmAtn
— 高枝景水@冬コミ12/30金)西ほ10b (@namazudou) 2016年12月4日
幸村のメンツも大助のメンツも汚さず、信政にお灸をすえる三十郎。よき家臣である。それにしても咄嗟に「相撲を取っておりました」と言える信吉は、やはり治の人…#真田丸
— ぬえ (@yosinotennin) 2016年12月4日
ふはぁ~(´▽`)、きりと春の顔に泥というのは、これも第1話の頃のばば様と母上の逃避行を思い出させて泣けるわ~、最終回間近で何とういう伏線回収の三谷マジック!! #真田丸 pic.twitter.com/WZ9Jtgvj0s
— sakaikazunori (@sakaikazunori) 2016年12月4日
この幸村の四国がどうこうという話、冷静に見ると、太平洋戦争で負け直前の状況で「一発派手な勝利をしてソ連に仲介してもらえばまだ有利な条件で講和できる」というのと同レベルの希望的観測だよりだよなあ #真田丸 #nhk
— ut_ken (@ut_ken) 2016年12月4日
有楽斎には有楽斎なりの信念や理屈があったのだけど、絶妙ないい加減さが素晴らしく胡散臭かったです。だいすき。 #真田丸 #丸絵 pic.twitter.com/eyOwU6IwzF
— 高枝景水@冬コミ12/30金)西ほ10b (@namazudou) 2016年12月4日
(悲報)サスケの長かった片思い、0.5秒で終わる…。 #真田丸 pic.twitter.com/JKDkIAbBJ6
— 長宗我部元親_bot (@motochika_bot1) 2016年12月4日
佐助の着物、米沢牛に見える。#真田丸 pic.twitter.com/h0SMUVwSUW
— 678 (@678mpth) 2016年12月4日
家康が秀忠には任せられん!て言うのは、これからも将軍として全国統治を続ける秀忠ちゃんに余計な責任を負わせたくなかった親心があったと信じてるよ…戦国の負の遺産でもある豊臣討伐、上方で豊臣を討つことは民衆の反発を買うことでもあり、その汚名を着るのは老い先短い自分の役目だと #真田丸
— 水羊羹 (@Mizu_yoKAAAN) 2016年12月4日
あーもうアカンわ…予告でこんな号泣してて、来週絶対しんどいやん…
ほんまにあと2回で終わってまうん…?終わる前からすでにロスってるのに、終わってしもたらどないなるん…?
#真田丸
— カロヤーン・アホジカ (@caroyaaaaan) 2016年12月4日
牢人たちも善意で勝つために武器を買い揃えたのが裏目になるあたり上手いと言うか憎いと言うかたまらない脚本ですね! #真田丸
— 候偉 (@koui_) 2016年12月4日
大蔵卿局の人が想像してた以上に美人で驚いた。 #真田丸 pic.twitter.com/mOD346NuEb
— ガイセリック (@geisericus) 2016年12月4日
#真田丸 家康に勝てるんじゃないかと期待した瞬間もあったけどやっぱり覆らないんだぬ(あたりまえ)
このお話通して、最初からきりが大嫌いだったんだけど、ここまできたらもう頑張れとしかいえないよ。— ももひよ (@UminiUkabuTuki1) 2016年12月4日
やっぱ家康って寛大だよね
もともと豊臣を滅ぼすまではする気がなかったみたいだし、牢人が武装し始めたり堀を掘り返したりしていても、「牢人を滅ぼしてやる!」とは言ったけど「豊臣を滅ぼしてやる!」とは言わなかったし#真田丸— んごごぎがが@苦悩丸 (@mahabar9419) 2016年12月4日
#真田丸
盛親は結局のところ「長宗我部」の名前を取り戻せるならどんな場所でも頑張れる(というべきか)感じだったのだろうか…?
それが如実に表れているのが「淡路島」なんだろうな。— Ellie (@miuellie) 2016年12月4日
こんだけきっちり伏線回収してるとこ見ると「妻も子も死んだ」なんてわざわざお茶の間に発表させられてる料理番の大門与左衛門が、このままただの料理係で終わるわけはないよなあ。#真田丸
— Yui (@AokanoLovebird) 2016年12月4日
特集 ムービー 大河ドラマ『真田丸』PR「最終回、迫る!」編 (1分)(1分)|大河ドラマ『真田丸』 特集「ムービー」ページをご紹介しています。スペシャル動画(1分)をご覧いただけます。 https://t.co/iYGuSpqV29
ぜひこれは見てもらいたい#真田丸
— 知輝 (@heityo_617) 2016年12月4日