1.日本の置かれた状況
米国が日本と同じような自国民優先にシフトするとき、日本は、どういう状況かというと、自国民を守る政治が持続性を失いかけている。1990年から20年以上も年間20兆円もの国債発行で、とうとう国家債務が1000兆円にもなってしまい、持続不可能という状態で、一部の日本人が貧困層になっている。
2020年のプライマリーバランスも危うくなり、国債依存の自国民保護もできなくなり、最後の拠り所をして米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授による「物価水準の財政理論」(FTPL)に頼るという状況である。
しかし、シムズ理論でも、十分な需要のあることを前提としているが、日本の現状は、老齢人口増加と人口減少などで需要不足が起こり、これを解決しないとハイパーインフレになり、国民全体が貧乏になり、国民を守ることとは反対の方向になる。
もう1つが、主要国全てが金融緩和を続けていたら、近隣窮乏化のような議論は出てこないが、米国が出口を迎えて利上げになり、日本やEUだけが金融緩和を続けることで、米国は為替操作と批判して、関税を高めることになり、日本は製造業も守れなくなる。
江戸時代の幕府と同じで、米国の自国優先という黒船が来て、日本の財政事情や自国優先という今までの心地いい考え方では、立ちいかない状態になってしまったのである。