苦しいのは企業だけにあらず。再編が加速する「銀行」の窮状

 

地銀同士の動きも

一方、大手都銀とは関係なく地域の地銀同士の動きも活発化している。北関東では足利銀行と常陽銀行、九州では福岡銀行、親和銀行、熊本銀行がふくおかフィナンシャルグループの傘下で経営の合理化と経営協力を進めようとしている。

ほかにも四国の百十四銀行、阿波銀行、伊予銀行、四国銀行の4行が地域活性化に向け包括提携。三重銀行と第三銀行が18年4月に共同持株会社を設立。千葉銀行と武蔵野銀行が持株比率を高めて連携を強化している。

さらに地域を越えて連携しているのが、東北の秋田銀行、山形銀行と中国地方の広島銀行、山陰合同銀行、山口フィナンシャルグループ、西日本シティ銀行、そして岐阜の十六銀行が資産運用会社を設立した。また九州のふくおかフィナンシャルグループと十八銀行が17年10月にも経営統合を予定しているといった具合だ。今後も金融庁が再編の旗をふっているので各地方で統合と協力の動きがますます強まるに違いない。

再編だけでなく地域再生の役割を

バブル崩壊、リーマンショック以降、世界でも絶好調にあった日本企業の多くは一挙に失われ10年、20年を経験してきた。その中で銀行もまた例外でなく、まず一番安定しているとみられた大手都市銀行が10数行から3行のメガバンクに集約された

地方銀行は地域に根を張っていたので比較的安心とみられていたが、少子高齢化や過疎化、大都市への一極集中で苦しくなり再編へと追い込まれつつある。中小・零細企業と最も近い関係にあった地元密着の強さを誇っていた信用金庫も再編の渦に巻き込まれている

金融は企業にとって命綱であり、地域にとっても重大な役割を担っている。再編で生き残ることに全力をあげることも重要だが、地域経済をどう活性化させ中小・零細の連携をはかりながら企業を再生させることに知恵を絞ることが遠回りのように見えるが、案外互いに生き残れる方策ではないか。雨の日だけでなく、曇りや雨の降りだしそうな日にも傘を差しだす優しさと知恵が欲しい。

(2017年3月23日 Japan In-depth)

image by: Tooykrub / Shutterstock.com

 

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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