CAさん、「あれよ、例の問題児」みたいな感じで僕を指差します。
ジェネラルマネージャーと書かれたネームをした、その小男「あー、あいつか」とズボンのポケットに片手を突っ込んだまま、もう片方の手でちょいちょいと僕を呼ぶ。 なんだよ、と日本語で僕も行く。
「っったいっっへん、申し訳ございませんッ!!! 弊社のミスでございます!! お客様には多大なご迷惑をおかけ致しましたので、ファーストクラスをご用意させて頂きますので、もし可能でございましたら、次の便への変更をして頂けませんでしょうか。 なお、お食事等ももちろん弊社にて持たせて頂きますので」
……と謝ることなんてあるわけなく。
まさかのアメリカの航空会社の対応とは、おもむろにイキナリ僕の肩に腕を回してきて、
「なぁ、朝メシ食ったか?」
はぁ?
「そこにSbarroあるからさ。 おごってやるよ」
そことは、空港内のフードコート。 Sbarroとは、全米どこにでもある、やっすいファーストフード。
ニヤニヤしながら「人生そんなに焦ってどうすんだよ、のんびり行こうぜ♪ 80分後にロス行きのフライトがあるからさ。 それに乗んなよ。 悪いこと言わない。 Sbarroで好きなもん食ってから行ったほうがいいって」
先にまず謝れよ。
いまのとこ“SORRY”のひとことも聞いてないぞ。 なんて、言うつもりも、もうありません。 この国のサービスに対して。
「悪いけど、ロスの空港に人待たせてるんだ」なんとか自分を抑えて穏便に断りました。 (チッと舌打ちされたときはさすがにキレそうになったけどw)。
そのあと、CAが場内アナウンスで、乗客の中から、次の便に変更してくれる人を募る。 その間もオレ通路立ちっぱなし。
機内、まだ離陸できないのは、こいつのせいって言われてるみたい(笑)。
機内、僕のせいでフライトできない空気が蔓延。 結構、みんなに睨まれる。
そのとき20代の女性が手を挙げて「アタシ、別に急いでないから」と立候補して席を立ちました。
場内からは「おー!」と賞賛の声。 パチパチと拍手するひとまで。
「それにひきかえ、おまえは」みたいな目でみんなに見られる。
彼女とすれ違う際、絶対言うまいと思っていた言葉が我慢できず、つい出てしまいました。
I’m sorry…
カチューシャをしていたその子は「That’s OK!」と微笑みました。
6時間の機上。 窓の外、涙をこらえて見る(w
これがアメリカですw 憧れることなんて一切ないよw
日本の航空会社だと、どんな対応してくれるんだろう…。
もう忘れてしまったことが悲しい。
少なくとも、Sbarroではないはずだ。