とにかく必死で、スタイリッシュでカッコよく作ってくれ、と。で、このドラマに憧れる世界中の女性がこの街に観光に来て、お金を落とす。
もちろん、あのドラマの普遍的な人気は、実際に起こりうる、女性の社会における色々な問題を鋭く描いたところです。それはそれでとてもリアルであったからこその、エミー賞であり、ゴールデングローブ賞。あのドラマのクオリティの高さは周知の事実です。
でもいまだに聖地巡礼ツアーが大盛況なのは、主人公の住んでいた設定のアパートメントで撮影する観光客が世界中からやってくるのは、脚本自体のクオリティーの高さ以上に、ドラマの中のライフスタイルそのものが人を惹き付けたと言っていいと思います(だってそうじゃないと毎年のアカデミー賞受賞作が、そのつど聖地巡礼ツアーを開催しないと話のつじつま合わないもんな。やっぱり脚本以上に、ファッション、雰囲気、生活スタイルが売りだった、ということなんじゃないのかな)。
映画やドラマにそんな細かいこと言ってもしょうがないじゃないか、と言われるかもしれません。
例えば「アベンジャーズ」を観て、実際にアメリカにアイアンマンが存在する と思う人はいない。それと同じで、 実際に「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公達が存在しないのはみんな知ってる。同じじゃないか、と。
でも「アベンジャーズ」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」はアクション作品。あの映画を観て、実際にアメリカでヒーロー達がビルを崩壊しながら戦闘していると思っている人はいないはずです。今現在、カリブ海であんな格好で活動している海賊が現存すると思って観ている観客はほぼゼロなはずです。でも「セックス・アンド・ザ・シティ」はライフスタイルを唄っている。ニューヨーカーの生活自体を前面に出しています。実際のニューヨーカーはこんな生活をしているのだ、と。だからこその聖地巡礼ツアーであり、主人公達が飲んでいたカプチーノを同じカフェで飲みたいと思う人が続出するのだと思います。
実際のニューヨークと、そこに住んでいるニューヨーカーを売りにするのであれば、あまりにエリア的にも、人種的にも希少すぎる、と思うのです(それこそ、今現存するカリブの海賊並みの希少さです。 “キャリー、ほとんどジャック・スパロウ説”を立証出来そうです。 パーセンテージ的に)。