一方で、チュニジアから起きた「アラブの春」民主化運動(ジャスミン革命)は、中東の大国・エジプトのムバラク政権やリビアのカダフィ政権を倒し、さらにシリア、イエメンなどにも波及していった。そこへイスラム原理主義を掲げ、国境を越えたイスラム国の設立を目指すイスラム原理主義運動やトルコ、イラク、イランの3カ国にまたがるクルド人の建国運動も絡んで、いまや中東は大動乱時代に陥っているのが実情だ。
しかも新しい地下資源・シェールオイル・ガスを手にしたアメリカは、紛争地帯の中東から徐々に手を引きつつある。
中東、アフリカから始まった動乱の嵐は遂にカタール、サウジ、イエメンとアラビア半島の端まで押し寄せてきた。小国カタールとサウジなど6ヵ国との断交は、もはや民族や宗派の違いも関係なくなってきたようにみえる。アメリカと固い同盟関係にあれば、「日本は大丈夫だ」などといつまでも言ってられるのだろうか。(電気新聞 2017年6月23日)
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