助け合える「配車アプリ」の利用を
そこで、その間にできることは何かと考えると、結局は、相互扶助(お互いの助け合い)という仕組みに落ち着く。つまり、車があって、運転技術も確かで、時間のある人が、車を利用したくてもできない人をサポートする仕組みである。
このように書くと、なんだ!ボランティアかと思うかもしれないが、そうではない。「Uber」や「Lyft」といった配車サービスアプリの導入を積極的に考える時期だということだ。
配車アプリとは、自家用車を持っていて、活用したい、それで収入を得たいという一般ドライバーと、車を自分で運転できない人とのマッチングを行うシステム。料金はタクシーよりも安く、手軽に利用できるので、アメリカやアジアの国々では急速に普及している。
日本では、タクシー業界の反対や配慮から、自家用車での営業は違法な白タク行為とみなされ、利用が進んでいない。しかし、タクシー業界も、運転しにくい人の利用を考えた取り組みを始めている。
例えば、チャイルドシートなどを取り付けた「子育てタクシー」、陣痛などの不測の事態に対応できる「マタニティ・タクシー」、学校や塾と自宅を顔なじみの乗務員が送迎する「キッズタクシー」がある。シニア向けでは、最近、「乗り合いタクシー」のテレビCMをよく見るようになった。運転できない人の車の需要は多いのだ。
従来は、地域の助け合いとして、そうした人たちをボランティアで送ってあげるという例が多かった。しかし、ボランティアではもはや対応できない状況に来ている。利用法や料金を明確にしたシステムのほうが、利用者も気兼ねなく使える。もちろん、お年寄りにも操作しやすいシステムの開発は必須。でも、これはすぐにできるだろう。
自治体は免許返納を促進したいなら、配車サービスアプリを導入することを積極的に考えてはどうだろうか。高齢者の需要を満たす取り組みは、地域社会で若い世代が新たなビジネスを生みだす契機にもなるのだ。
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※本記事はジモトのココロに掲載された記事です(2017年6月28日)
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