トルコの暴君エルドアン大統領が企む「オスマン帝国」復活の野望

 

トルコのもう一つの厄介な問題がトルコ領内のクルド族の独立の動きと難民の規制だ。クルド族はトルコ、イラン、イラクなどに住み、その数は2,500万~3,000万人で国家を持たない一つの最大の民族といわれる。なかでもトルコには1,500万人以上がいるとされ、過激集団イスラム国との闘いで功績をあげ、その勢いにのってクルド国家成立を目指している。ただ、クルド族を抱えるトルコ、イラン、イラクは国家成立に反対しており、中東各国では厄介な民族問題となっている。

また中東各国から難民がEUに渡っているが、トルコは欧州への難民を規制し始めた。2016年に中東、アフリカから欧州に渡った難民は約38万人だが過去最大の104万人(2015年)に比べると約7割も減少した。その最大の原因はトルコが規制強化に乗り出したためといわれる。

トルコは20世紀初めまでオスマン帝国を築いた大国だったが第一次大戦を機に国力、領土とも減少した。しかしトルコ民族には、かつてのオスマン帝国への郷愁があり、特にエルドアン政権は、その強権を武器に「新オスマン主義」を目指しているとされる。このことが中東各国やヨーロッパ諸国との火種となって最近くすぶり出し、中東の新たな波乱要因となりつつあるのだ。

image by: kafeinkolik / Shutterstock.com

嶌信彦この著者の記事一覧

ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済、文化、社会情勢などの底流や本質などについて発信。これからの世の中はますます動乱の時代。潮流を知ることが大事となり、その一助になれば幸いです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」 』

【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

いま読まれてます

  • トルコの暴君エルドアン大統領が企む「オスマン帝国」復活の野望
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け