それによると、シリアに展開したロシア軍とトルコ軍、サハラ砂漠南縁部の米軍、ソマリアの首都モガディシュのCIA基地、イエメンに外国軍が持ち込んだパトリオット・ミサイル、ウクライナ東部の親ロシア勢力、南シナ海・パラセル(西沙)諸島のウッディ島(永興島)の中国軍、台湾軍の巡航ミサイル司令部などについて、施設周辺の衛星写真に、フィットネスアプリ利用者の行動パターンが示されている。米国家情報長官室の庁舎では、GPSの電波が届かないはずの地下階の人の行動も、無線通信用の電波を利用して追跡されている。

ロシア軍が展開しているシリア西部のフメイミム空軍基地。赤線はストラヴァ社のフィットネスアプリの利用者の行動を示している(同社サイトの写真、アダム・ローンズリー氏 rawnsleyのツイート、1月28日)
ストラヴァ社が公開したデータからは、ある経路を通った人のユーザー名のリストを簡単に作成し、個別のユーザーの行動を数年間にわたって追跡することができる。例えば、用途の不明な施設に、かつてCIA基地にいたユーザーが滞在したら、その施設はCIAまたは同盟国の情報機関の基地と推定することができる、というわけだ。
各国軍や情報機関のユーザーが、位置情報通知機能を停止していれば、以上の情報は暴露されなかったはずだが、この種のアプリは、位置情報を運営側に通知することが初期設定になっており、少なくない軍人や情報機関職員が停止していなかった。
IS(いわゆる「イスラム国」)と戦う米国主導の多国籍軍は、ワシントンポストの取材に対し、「無線機器・アプリのプライバシー設定に関する新たな規則を周知徹底しているところであり、特定の施設・活動においては利用を禁止している」と回答している。
※『NEWSを疑え!』(2018年2月1日特別号)より一部抜粋
image by: shutterstock