本心はどこに?今になって小沢一郎に近づく橋下徹の「皮算用」

 

小沢氏が各野党をつなぐキーパーソンであることは確かなのだ。その人と食事をしないかと前原氏に誘われた時、橋下氏は何を思っただろうか。

野党統一候補を立てるために「予備選」を行うべきという橋下氏の考えを小沢氏にぶつけ、意見を聞きたいと思ったかもしれない。

「予備選」が実現すれば面白いだろうが、具体的にどのようなやり方をするのかが明確ではない。各党の考えをまとめるのはかなり難しい作業になるだろう。

小沢氏の唱える野党のゆるやかな選挙連合体「オリーブの木構想」とのかねあいで、小沢氏がどのように言ったかを知りたいところだが、会談の細部は明らかになっていない。

ともあれ、自民党から政権を二度も奪った小沢氏との接触は、ポスト安倍時代をにらみ、橋下氏が政界に再び躍り出る下準備の第一歩に見えなくもない。

かつて民主党政権の中枢を担った政治家たちについて、橋下氏が新著に以下のように綴り、期待を寄せるのも、これからの活動をスムーズに進めるための布石ではないだろうか。

野党が政権をとったところで、そのメンバーの多くはかつての民主党OBだから、同じ失敗を繰り返すと見る向きもあるが、そう単純な話ではない。…枝野幸男さんや前原誠司さん、岡田克也さんや野田佳彦さんなど、民主党で大きな経験をしている議員は今も数多く野党に散らばっている。…かつての失敗を繰り返さないよう、死に物狂いで過去の失敗の改善策を実行していくだろう。

それにしても橋下徹という人物は、評価するのが難しい。自分を批判する識者をツイッターでこきおろすトランプ的なやり方を、「正しい炎上」といってはばからない。モリ・カケ疑惑への安倍政権の対応を批判する半面、安倍首相のポピュリズム的な「政治マーケティング」とやらを絶賛し、大阪の知事や市長時代に国政側から援護射撃してもらったことへの恩義をいまでも大切にしている。

「野党内には待望論がくすぶる」と朝日は書くが、もし政界復帰ということになると、いわゆるリベラル派を中心にアレルギー反応も起こるにちがいない。

野党の連携に手詰まり感のあるなか、なにかと注目を浴びやすい橋下氏の動きが、膠着した局面を打開する導火線となるかどうか…。

image by: 大阪維新の会 - Home | Facebook

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