なぜ、国民年金は「目の敵」にされるのか。歴史でわかる理不尽さ

 

また、共済年金というのはそもそも公務員の福利厚生のようなものでしたが、厚生年金や国民年金に比べて給付がとても高くて官民格差を是正せよ!っていう声が昭和50年代になってくると強くなってきたから、共済年金もこの基礎年金に乗ってきた。共済年金が公的年金的な色を強める事になった。

まあ、共済年金は昭和59年4月に国家公務員共済組合が統合した国鉄共済組合というほぼ財政破綻していた共済組合を抱えていたから、この機に共通部分の年金は各年金制度が負担しあうという基礎年金に乗ってきたという理由もある。

昭和60年の年金大改正は国民年金財政を救うためのものでもあったが、この改正の時に今までサラリーマンの専業主婦は任意加入だったのが強制加入となり、また、20歳未満の傷病による障害者の人には低額な福祉年金を支給するしかなかったがそういう20歳前障害の人にも給付の高い障害基礎年金を支給する事とし、大幅な障害年金の改善が図られた。

昭和60年改正の時は中曽根康弘首相の時ですが、中曽根首相の大きな政策は赤字続きだった国鉄や、電電公社(今のNTT)、日本専売公社(今のJT)の民営化がよく挙げられます。しかし最大の政策は基礎年金制度の導入だった。

昭和50年代まで引き上げすぎてきてしまった年金給付の削減をして少子高齢化に耐えうる大手術を行い、バラバラになっていた各年金制度の中に共通部分を作って綺麗な形にした昭和60年改正は年金の歴史上では最高の知恵だと思う。年金にはいろんな改正がありましたが、この昭和60年改正ほどスゴイ改正は無かったと思う。

この昭和60年の年金大改正は山口新一郎さんという年金局長だった人が癌と戦いながら命を懸けて作り上げたものですが、昭和59年の国会に出す前に亡くなられました。しかし、その内容は非常によくできていたため基礎年金制度は山口さんを引き継いだ部下の人達が法案を通し、可決されました。

しかしそんな、年金史上最高の知恵も少子高齢化の予想をはるかに超えた進行でその後も大きな改正が行われてきたわけですね。でもベースは全て昭和60年改正の基礎年金です。

  • 昭和60年改正時のバックナンバーを購入されたい方はこちら(有料メルマガバックナンバー)
  • 有料メルマガバックナンバー購入されたい方はこちら

それでは今日はこの辺で!

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

年金アドバイザーのhirokiと申します! 年金は国民全員にとってとても身近なものであるにもかかわらず、なかなかわかりづらくてなんだか難しそうなイメージではありますが、老齢年金・遺族年金・障害年金、その他年金に関する知っておくべき周辺知識をご紹介します。 最新情報も随時お届けしています。 ※まぐまぐ大賞2016「知識・ノウハウ部門」2位受賞、2017年まぐまぐ大賞メディア部門MAG2NEW賞12位受賞、2018年まぐまぐ大賞知識ノウハウ部門5位受賞。 まぐまぐ殿堂入りメルマガ。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座 』

【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

いま読まれてます

  • なぜ、国民年金は「目の敵」にされるのか。歴史でわかる理不尽さ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け