ヒアリングに臆するな。ニューヨーカーも大した話はしていない

 

ある日のお昼休み。ランチを食べて、編集部に戻る際、1階ロビーからエレベーターに乗った時のことでした。たまたま同じようにお昼のランチ休憩から戻ってきた同世代の白人4人組の男性とエレベーターが一緒になりました。4人はエレベーター内の四隅に位置し、ちょうど遅れて入ってきた僕が真ん中に、彼らに囲まれるように中央で立っている状態でした。

4つのコーナーの彼らをそれぞれA、B、C、Dとします。僕はお昼を食べてお腹いっぱいで、少し眠気もある中、何も考えずぼーっと上部の各階を示す上がっていくランプを見ていました。

AがBに話しかけています。「お昼なに食べたの?」

Bが答えます。「いつものサブウェイサンドイッチさ(チェーン店)」

Cが割り込みます。「あそこのパストラミサンドイッチ、最高だよね!」

Dが呼応します。「そうそうそうそう!パストラミはもちろんエキストラ(増量)でね!」

B「オレも毎日でも飽きないよ、あそこなら」

A「粗挽きマスタードもつけるよね?」

D「もちろん!」

B「サワークリームも?」

Dはウインクしながら答えます。「あったりまえだろ♪」

AとBとC「ワーハッハハ!アハハ!」

………どおおおおでもええわっ!!!!!

無意識すぎたのでしょう。それに加えて長年、彼らの言葉を理解できなかった悔しさとストレスと、そしてそれをついに理解できた瞬間の嬉しさと、でも、想像と違ってあまりの内容の薄さに憤りも感じたのかもしれません。つい大声で、日本語で言い放ってました。

さっきまで黙っていた中央に立っているアジア人が、いきなりわけのわからない外国語で叫んだので、4人は唖然としていました。謝るべきところ、僕は逆に(気まずさも手伝って)ちょっと4人をにらみ気味で、エレベーターをでました。(勝手に)こっちは長年の間、とてつもなくハイセンスでハイクオリティーな内容を(勝手に)想像してたんだぞ!なにが粗挽きマスタードだバカヤロウ。

連中、大したことしゃべってません。外国語の習得の最初の最初の最初の1歩は、そこからです。ただのサンドイッチ屋をミシュラン3つ星くらいに言ってる連中です。誇大妄想で、すっごいこと喋ってるって勝手に思い込むことをまずやめること。

難しそうな顔して話をしていても、どうせサワームリームをつける、つけない、そんなことだ、くらいに思った方がいい。

image by:wavebreakmedia, shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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