中国の好きにはさせぬ。立ち上がったインドと連携深めるべき日本

 

また11月末の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ日本とアメリカはインドと3カ国首脳会議を開き、アメリカはインド太平洋地域へ今後600億ドルの経済支援を行なうことを約束した。さらに今後インドとアメリカは外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を行ない米・印間の安全保障分野での協力強化を約束する共同声明を発表。また日本も安倍首相とモディ首相との間で、アメリカ豪州を含めた自由で開かれたインド太平洋の実現を目指す関係強化で一致した。

しかしインドは、中国やロシアとの関係にも配慮しており、今春以降中国と3回の首脳会談を行なっているし、ロシアから最新鋭の防空ミサイルを購入する方針だ。実はインドは1947年の独立以来、独自の外交路線を続けてきた。60年代までは非同盟路線を歩み、その後中国と国境やチベット問題などで中印紛争が起きると旧ソ連と手を結んだが、ソ連がアフガニスタンに侵攻すると、距離をおいていた。冷戦崩壊後は自主独立外交路線を模索。中国との関係も改善してきた。

米中は「太平洋」を巡り争っていたが最近は中国のインド洋への進出に警戒し、日米とともに「インド太平洋問題」としてウイングを広げている。中国は高齢化が進行しているが、インドは労働人口の平均はまだ20歳台でまもなく中国を抜いて人口で世界一になる。身分制度は残っているものの、中間層が次第に増加し市場としても注目を集めている。親日国であり今後、超大国インドとのアジア外交は中国と共に極めて重要になろう。

(財界 2019年1月29日号 487回)

image by: Shutterstock.com

嶌信彦この著者の記事一覧

ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済、文化、社会情勢などの底流や本質などについて発信。これからの世の中はますます動乱の時代。潮流を知ることが大事となり、その一助になれば幸いです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」 』

【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

いま読まれてます

  • 中国の好きにはさせぬ。立ち上がったインドと連携深めるべき日本
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け