しかし、若いうちから住宅ローンで抱えることで、日常生活では節約を迫られる若者が多いのです。住宅ローンで支出の余力が落ちることで、若年層の可処分所得に対する消費支出の割合(消費性向)が減っていると内閣府は分析しています。
住宅金融支援機構の調査によると、2018年10月~2019年3月に変動金利で借りた人の割合は、60.3%と過去最高で、10年前に比べると15%もアップしているといいます。変動金利は、低金利の恩恵を受けやすいのですが、金利が上昇すると、一気に返済額が増える危険があります。
2018年の家計調査によると世帯主が30歳代の家計負債は1,329万円。これに対して、貯蓄は631万円。負債が貯蓄の2.1倍になっています。10年前は1.3倍だったことを思うと、急拡大している訳で、住宅ローンが要因であることは明らかです。
低金利による住宅購入の若年化が、ここまで進んでいることを改めて認識しました。低金利が、結果として、早くから若者を住宅ローンでがんじがらめにし、それが社会の活力をそいでいる面もあるのです。少子化にも影響を与えていると思えます。
そして、前々から言っているように、金利が上昇に転じたときに、ぎりぎりのところで共働きで頑張っている若い世帯が、乗り越えられるか心配です。低金利がもたらした若い世帯の負債増加は、いろいろなところに波及している結構大きな問題だと思います。今後、議論が始まると思われます。
それにしても、30歳代の持ち家比率52.3%、変動金利で借りている人の割合60.3%には驚きました。若い世代の将来が心配でもあります。
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