現役アナが教える。聞いた話をそっくり引用する話し方のメリット

 

そして、もうひとつ、セリフ形式で話す重要なメリットとしては、表現を練り直すのにかかる時間が、ゼロである、ということ。

これも例文で説明しますと、「あのあと彼女は、こんなふうに言っていましたよ。『ああいうふうに褒められたのは初めてだったので、すごいびっくりしたけど、嬉しかった!』って、喜んでいましたよ、先輩」

この話の経緯は、想像していただければわかると思いますが、先輩・後輩・彼女が一緒にいたときに、先輩が、彼女にとって意外な褒め方をして、解散したあと、その彼女が後輩に、その言葉の感想を述べた、という状況ですね。

いまここにいない彼女の話した言葉を、後輩が先輩に聞かせるにあたって、彼女のセリフをそっくりそのまま引用することで、話を練るタイムロスなく、即答で話せているわけですね。

タイムロスなく話すために、「こんなふうに言っていましたよ」という前振りのあと、セリフを再現して、「って、喜んでいましたよ」と、言っていた内容を表現しなおしていますよね。

これ、書き言葉の文章ですと、ちょっとおかしな感じにも見えるのですが、話し言葉というのは、現実では、こういうことの連続なんですよね。

そして後日、さらにもっといい話に練り直すならば、「あのとき彼女は、自分でも気づかなかった自分の良さを、先輩に褒められたことで、驚きとともに、大変大きな気づき、励みになったみたいですよ…」

ちょっと気恥しくなるような例文で申し訳ないのですが(笑)、粗っぽく、そっくりそのまま引用したときにはない、少しこなれた話になりましたよね。

このように、いきなり、こなれた話を目指し過ぎて、寡黙になってしまうのではなく、とりあえず思い出せることから口にしてしまい、追々、話を練っていくというやり方もあるわけです。そんなときに、セリフをそっくりそのまま引用すると、話が早い、というわけですね。

image by: Shutterstock.com

熊谷章洋この著者の記事一覧

アナウンサー歴30年、極限の環境で話し続ける著者が、実体験から会得した「話し方のコツ」を理論化。人前で話す必要がある人の「もっと〇〇したい」に、お答えしています。一般的な「話し方本」には無い情報満載。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 話し方を磨く刺激的なひと言 』

【著者】 熊谷章洋 【月額】 ¥346/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

いま読まれてます

  • 現役アナが教える。聞いた話をそっくり引用する話し方のメリット
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け