後半戦の出張がスタート
出張後半戦。 再びニューヨークはJFK空港から始まります。出国のセキュリティーゲートは今日も長蛇の列。 2001年の“あの事件”以降セキュリティーを通る際、靴まで脱がなきゃいけなくなりました。 それがこの混雑の原因の一つであることは明白です。 セキュリティーで靴を脱がされるたび、それだけでテロリストは許せない!と思ってしまう。
セキュリティーゲートの担当職員は政府機関の制服を着ています。列を整理する職員が、列の向こう2メートルくらいから、丸めた紙片のゴミを僕の真横のデカいゴミ箱に野球のピッチャーのフォームで投げ入れてきます。ゴミはゴミ箱から外れ、よくもこんな至近距離でこんな大きな開講口のゴミ箱の的を外すな、と思っていたところ、その黒人職員は、僕の足元に転がったそのゴミを「拾って返してくれ」のジェスチャー。僕は足元から丸まった紙を拾い、彼に投げ返します。彼は、またピッチングフォームから、ゴミ箱へスロー。また外す。おおげさに天を仰ぐポーズの、その空港職員。さすがにもう諦めたのか今度は僕に「そのまま拾って捨ててくれ」のジェスチャー。この一連、全部無言。全てジェスチャー。彼、言ってみれば政府の職員だよね。成田空港の税関職員がこんなことをするこのは向こう100年ないはず。この国での日常光景は日本の人には信じてもらえない連続です。
でもLAのセキュリティーゲートでは、なぜかピアノが置いてあり、ピアノの生演奏が行われています。 意味はわかりません。これも日本ではないこと、かな。
今回の滞在はほぼ東京。 都内のビジネスホテルに宿泊します。トイレに入った瞬間、足元に貼ってる張り紙に目を奪われます。「便座に座る前に、備え付けのスプレーで便器の中をシュッとワンプッシュのご協力お願いします」との内容でした。 それだけでトイレ掃除がかなり楽になるとのこと。 日本全国にチェーン展開をする巨大企業ならではのアイデア戦略だと思うのですが、気になったのはそこに描かれたイラスト。
「トイレの中まで失礼します!」と吹き出しが伸び、お辞儀をしている男性のイラストが。確かに日本ではよく見かけるイラストです。街中にあると言ってもいい。工事現場ならほぼ100%見かけるし、飲食店の臨時休業でも見かけることがあります。もちろん、ニューヨークでは、このようなお辞儀をしているイラストを見かけることはありません。
ついでに言うなら、臨時休業だろうが、工事で道路封鎖だろうが、「ご迷惑をおかけしております。大変、申し訳ございません」の文言もほとんど見かけない。代わりにそこにある言葉は「Thank you」。ご協力感謝致します、の「Thank you for your cooperation」という言葉。日本人の感覚の「申し訳ございません」と彼らの「sorry」は微妙に違うのかもしれません。
おそらく移民で出来上がった国は、そのすべてに「責任の所在」を明確にする必要がありました。誰のレスポンシビリティで、誰が謝罪をすべきことなのかを、日本人の感覚以上にこだわります。日本独特の「自分が謝っときゃ丸く収まるから」なんていう大人の態度は、後々おおごとになる可能性がある。
台風で臨時休業も、開発の道路工事も、自分のせいではない。なんならこっちも被害者だ。 なので、事情を理解してね。で、「理解してくれて(もしくは、協力してくれて)ありがとう」の文言、ということなのでしょう。やっぱり深い意味で、日本とアメリカはまったく違う国なのだと、今更ながらホテルのトイレの張り紙で気付かされたのでした。