なにより、これまで検査対象を絞り込んできたツケは大きい。たとえば、警視庁が、4月1日から15日までに発見された変死体のうち、コロナ感染が疑われた30人にPCR検査をしたところ、6人が陽性だった。市中感染の広がりを強く感じさせる。
また、慶応義塾大学病院が、新型コロナ以外の治療目的で来院した患者67人にPCR検査を行ったら、なんと4人(5.97%)が陽性者だったという。
院内感染対策として、コロナの症状がない人にどのくらい感染者がいるのかを調べたのだろうが、このデータがニュースになったのは、検査件数が少なくて見えていない感染者が想像をこえて市中に広がっているのではないかという驚きがあったからだろう。
100人に6人が感染しているとすれば、東京都の人口を1,400万人として、84万人にもなる。4月29日時点で公表された東京都の感染者数4,100人とは、あまりにかけ離れた数だ。
こうなると、東京都のコロナ死亡者数117人というのも、怪しい。ふつうの肺炎や、他の死因と判断された死亡者、あるいは変死者の何割かが、実は隠れたコロナ感染者だったということもあるだろう。今年に入ってからの死亡者を集計したデータが見つからないので何とも言えないが、例年にくらべて異常に多いようなら、新型コロナの影響を否定できない。
たしかに言えるのは、東京をはじめ日本の感染の実態が、検査の不足によって覆い隠されているということ。そして、アビガンなど有効性が認められる国産の薬品が、危機にあっても頭が硬い政府の遅々とした対応によって、“宝の持ち腐れ”状態になっている事実である。
とにかく必要なのはスピードだ。隔離施設を確保し、PCR検査体制を拡充するとともに、短時間で簡易にできる抗原検査、抗体検査なども保険適用して広く導入し、陽性と判明した人には早期にアビガンを投与できる仕組みをつくってもらいたいものだ。
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