世界に溢れる16億人の失業者
それは、どの国のリーダーも政府も、自らの判断を正当化する「確証バイアス」を強化するだけだからです。
自らの判断ミスとCOVID-19の威力を甘く見て対応が著しく遅れたか、全くとらないトランプ大統領やボルソナロ大統領のようなエゴ満載のリーダーや、ハンガリーのオルバン首相やカンボジアのフン・セン首相のように、COVID-19という国難を逆に利用して自らの権限拡大に踏み切ったような強権的な国家リーダーは、「国際的な協調などうまく行かない。WHOを見てみろ!」と国際協調と国際機関による統制を糾弾するでしょう。
逆に欧州に多い国際統治を尊重する国々のリーダーは、「WHOの機能が中途半端で、かつ権限を十分に与えられていなかったから、新型コロナウイルス感染拡大に対して国際的なunited actionsが取れなかった。ゆえに、WHOなどの権限強化をするべき」と謳うでしょう。
何よりも怖いのが、そのどちらの見解も“正しく”、その“正しさ”は、新型コロナウイルス感染拡大による世界的な災禍を経験した後でも、国際政治の様相や特徴を変えることはないという事実です。先週号(「中国の不気味な動き。コロナ禍に浮上した金正恩『重体説』の裏側」でお話しした地政学のお話しとつながりませんか?
新型コロナウイルス感染拡大によって、ILO(国際労働機関)の試算では、世界で16億人以上が雇用を失い、生計を立てる手段を失うことになるようです。それは先進国・途上国の別なく。
結果どうなるのか。紛争の現場に何度も赴いた経験と、戦争の調停に携わってきた身としては、社会不安の増大が引き起こす新たな紛争の各地での同時勃発を非常に懸念しますし、それによりコロナを必死で生き延びた人たちも、さらなる災禍に見舞われることになってしまうかもしれません。
皆さんはどうお考えになりますか?
image by: Jennifer M. Mason / Shutterstock.com