3番目は時代的な問題です。1991年はブッシュ(父)の時代で湾岸戦争が終わったばかり、政治が内政に向いていない中で発生した事件でした。一方で、2014年はオバマ時代で、一見すると「どうして差別暴力事件が頻発?」という違和感を感じさせますが、オバマがこの種の事件に対しては「とにかく人種間の分断を避けたい」という穏便な言動に終始したことが、問題の根絶を先送りした事になったのかもしれません。
そうした時代と比較すると、今回はトランプ時代であり、多くの反対派は「トランプが白人至上主義を煽った結果、こうした事件が起きる土壌が生まれた」と考えています。ですから、もしかすると事件への抗議行動は、このままエスカレートして行って「トランプ打倒運動」に発展する可能性もゼロではありません。
そのトランプは、当初は犠牲になったフロイド氏の遺族に電話をするなど「殊勝な」態度も見せていた(但し一方的に喋った失礼な電話であったとのこと)ようですが、ホワイトハウスがデモ隊に囲まれると、
「突入してきたら犬で攻撃して、その次は見たこともないような武器で対抗してやる」
などと暴力的な威嚇を行い、更に全国知事会議では、
「諸君は手ぬるい。デモ隊を圧倒すべきだ」
と更に暴力の使用を勧めるという悪質な姿勢を取っています。この問題、一気にアメリカを「コロナどころではない」状況に追い込みました。
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