温泉通が語る「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」の違い

文科省が4日、児童生徒がいる空間で新型コロナウイルスの消毒を目的とした次亜塩素酸水の噴霧を行わないよう、全国の教育委員会などに注意喚起したというニュースが報じられました。新型コロナに対する有効性が十分確認されていないうえ、世界保健機関(WHO)が「消毒剤を人体に噴霧することは推奨しない」としているためですが、これとよく似た「次亜塩素酸ナトリウム」という名の塩素消毒薬をご存知でしょうか。温泉事情に詳しい、メルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』著者で元旅行誌編集長の飯塚玲児さんが自身のメルマガにて、この「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」の違いについて解説しています。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムのこと
最近話題になっているのが、「次亜塩素酸水」のコロナに対する効果のことである。 我々のような温泉ファンとしては、この名前を聞くと、すぐに「次亜塩素酸ナトリウム」(いわゆる温泉水の塩素消毒薬ですね)を思い浮かべるのだが、この二つはまったく別のものであるそうな。
「次亜塩素酸ナトリウム」はキッチンハイターなどのことで、これの希釈液を「空中噴霧すると人体に害がある」ということである。 ただ、コロナウイルスの消毒に関しては効果があると言っていいらしい。
なので、厚労省などではハイターを希釈した水で手すりなどを吹くことは推奨しているわけだが、人体に直接吹きかけたりすることはNGだとしている。
昨今、問題になっているのは「次亜塩素酸水」の方で、こちらは新型コロナウイルスに対する効果について、検証実験が継続中であるとのこと。そこに以下のようなニュースが飛び込んできた。 北大の研究グループが「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果を実験して、微酸性の次亜塩素酸水は「新型コロナウイルスを瞬時に不活性化する」という発表である。
● 北大研究グループが第二弾発表 「次亜塩素酸水」のウイルス不活化
僕の頭は理系脳がすっからかんなので、はっきりとしたことはよくわからないが、これが事実だとすれば、安全な除菌トンネルが可能だということになるようだ。 次亜塩素酸水メーカーのHPなどをのぞいて見ると、次亜塩素酸水の方は、これまでにもカット野菜の除菌などに使用されてきていて、人体への害は低いということらしい。 何が本当かよくわからない時代なんだが、ねえ。
にしても、これだけ「次亜塩素酸ナトリウムは人体に害がある」ということが明白だと言われている中で、温泉をこの薬剤で塩素消毒するというのが、いかに危険なことかと思ってしまう。
本来なら銀イオンなどで消毒するといいのだけれど、ものすごく高価な上、使えない泉質もあって、この辺りはなかなかに難しい問題である。
もっとも、僕は塩素消毒を頭ごなしに否定する立場ではなく、芋洗い状態のような浴槽に消毒なしでは、そっちの方が怖いとすら思っている。
それでも、浴室に入った途端に塩素臭が漂っているところもあるわけで、そういう温泉施設は「次亜塩素酸ナトリウムを空中噴霧している」ということにならないのか、という気もしてしまう。
塩素消毒を否定はしないけれども、やっぱり一番いいのは、毎日完全換水清掃をしているドバドバ泉、ということになるんだろう。なんだか今回は慣れない化学的な話なもので、間違いがあったら指摘してほしいと思う。 どうぞよろしくお願いいたします!
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