防衛省も財務省も地元も不満。陸上イージス計画停止の本当の理由

 

八方ふさがりだった

【東京】は1面トップと2面の解説記事「核心」。見出しから。

(1面)
地上イージス計画停止
技術的問題 改善に時間
米兵器爆買い つまずく

(2面)
安全面・高コストで断念
地上イージス計画
地元の理解も得られず
対北ミサイル防衛 有効性にも疑問

《東京》も「事実上の撤回」と捉えている。「地元では安全性への理解が得られず、北朝鮮のミサイル開発が進み有効性にも疑問符が付いていた」として、「八方ふさがりだった」とまで言い切っている。

自民党閣僚経験者が「けちがつき過ぎた」と言うのは、「防衛省への信頼や兵器の安全性」に対してであり、それは「強力レーダーの健康影響」、「調査方法の適切さ」、「職員の居眠り」で、住民の怒りを買ったことによる。また、イージス導入に必要な予算が増大すれば、他の防衛予算を削ることになり、防衛省内部からも導入を疑問視する声が上がっていたという。

また有効性についても懐疑的な意見が出ていて、ロシア製の高性能弾道ミサイル「イスカンデル」に似たミサイルの開発が進められていて、低い高度で入ってくるミサイルはイージスでは探知できないという。

●uttiiの眼

1面記事の末尾に記者による「解説」が付いていて、今回の事態は、「地元住民の理解や有用性、安全性の調査を後回しにして配備計画を進めた結果、事実上の撤回に追い込まれた」ものと評している。またイージス・アショアの計画は、「自衛隊が米軍と一体化してハワイとグアムの米軍基地を防護する狙いもあると疑念を持たれていた」とも指摘。

このイージス・アショアの計画に加え、ステルス戦闘機F35やオスプレイの購入が急増、「後年度負担」(兵器ローン)の残高は5兆4310億円にもなっているといい、これらの「費用対効果」の検証も不可欠としている。この問題を巡る要素に過不足なく言及した、分かりやすい解説になっている。

image by:Raihana Asral / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額440円(税込) 【発行周期】 毎週 月・火・水・木・金曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

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