フジサンケイだけじゃない。繰り返されるイカサマ世論調査の手口

 

たとえば問3で、憲法改正すべきだと考えていて「はい」と回答した人が20%、憲法改正すべきでないと考えていて「いいえ」と回答した人が40%だったとします。残りの40%は、これまで憲法のことなど考えたこともなく、本来なら「どちらとも言えない」と回答したい人たちだとします。しかし、この選択肢に「どちらとも言えない」がありませんから、明確に「はい」でも「いいえ」でもない人たちは「どちらかと言えば必要」と回答してしまいます。そして、政府は「九条を含めた憲法改正に賛成の国民は60%、反対は40%」と発表するのです。

この偏向的な世論調査は、問1で仮想敵国の脅威を印象づけ、問2で防衛のためには憲法の戦争放棄の条項が問題だと飛躍させています。憲法は交戦権を認めていませんが、他国が攻めて来た時には個別的自衛権によって交戦できますから「憲法改正しなければ自衛できない」というロジックは改憲のための詭弁です。つまり、あまり良く憲法を理解していない多数の人たちを、問3で「はい」や「どちらかと言えば必要」と回答させるための前ふりなのです。

自民党政権は、自衛のための交戦ではなく、こちらから仕掛ける戦争がしたいのです。アメリカと一緒に世界各地の紛争に首を突っ込みたいのです。だから憲法改正を進めているわけですし、安倍晋三首相はお得意の閣議決定だけで憲法解釈を180度も変更して集団的自衛権の行使を容認したのです。これ自体が憲法違反ですが、安倍首相には「日本をかつてのように戦争のできる国にしたい」という大きな野望がありますので、憲法違反などビフォーブレックファースト、朝飯前なのです。

自民党政権が30年前に煽っていた「ソビエト連邦が起こした戦争に日本が巻き込まれる」という妄想は現実になりませんでした。また、現在、仮想敵国に挙げている中国が日本に攻めて来ることもありません。そんなことをしたら第三次世界大戦が勃発し、ICBMによる地球規模の核戦争に発展し、いくつもの国が消滅してしまうからです。北朝鮮もしかりで、もしも北朝鮮のミサイルが日本国内に着弾して被害が出たら、日本の後ろにはアメリカが、北朝鮮の後ろには中国がいるのですから、やはり同じことです。

ヘタをしたら自国が消滅する。最低でも大きな被害が出る。こんなことを望んでいる国などありません。こうした現状を冷静に分析すれば、やたらと国の近隣脅威を煽り続け、それを理由に憲法改正を進めようとしている安倍自民党の本当の狙いが何なのか、簡単に透けて見えて来ます。それは、アメリカの戦争ビジネスへの参入であり、メイド・イン・ジャパンの武器兵器を開発・販売するための軍事産業の確立なのです。

自民党政権のスポンサー各紙による偏向的な世論調査によって、あたかも現在の憲法では自衛のための交戦もできないかのように信じ込まされ、その流れでウッカリと「憲法改正に賛成」などと回答していると、そのうち「国民投票」でもウッカリと同様の投票をしてしまうかもしれません。まずは「内閣支持率の世論調査でも不正が行なわれていた」という事実を重要視し、他紙の世論調査の結果も鵜呑みにしない習慣を身につけましょう。

image by:Sharaf Maksumov / Shutterstock.com

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