黒人殺害抗議デモの裏で暗躍。謎の武装集団「ブーガルー」とは

 

メンバーとイデオロギー

メンバーは白人の比較的に富裕な中年男性だ。それというのも、「ブーガルー」という名称の元になった2014年のドキュメンタリー映画、「エレクトリック・ブーガルー」は、マッチョ志向が強く白人至上主義的な傾向のあるB級暴力映画を製作していた会社、「キャノン・フィルムス」を取材した映画だからだ。

おそらく「ブーガルー」のメンバーの多くは、この会社の映画を見て育った世代であろう。「キャノン・フィルムス」は1967年に設立され、1994年に解散している。ピークは80年代である。ということでは「ブーガルー」は、80年代に青年期を送った40代から50代の白人男性が中心だと見て間違いない。

そしてイデオロギーと活動だが、「アメリカ第2内戦」と「第2革命」を実行するために、警察のような治安機関や政府機関を銃で襲撃するという点では一致しているものの、その他のイデオロギーでは「ブーガルー」のそれぞれのグループの間に相違があるとされている。筋金入りの白人至上主義とネオナチの集団がいるかと思えば、「BLM」運動にある程度のシンパシーを感じて、「BLM」の抗議デモで警官を襲撃しているグループもある。また、「リバタリアン」と呼ばれる無政府主義者のグループもいる。

運動を破壊的な方向に誘導する「ブーガルー」

このメルマガでは何度も書いているように、いまアメリカでは2つの抗議運動が同時に起こっている。ロックダウンや行動規制に抗議するトランプ支持者による右派のデモと、ジョージ・フロイド氏の死をきっかけに高まっている「BKM」の反人種差別の左派のデモだ。極右の「ブーガルー」はこのどちらのデモにも参加しており、警察を襲撃するなどしてデモを破壊的な方向に誘導している。

「BLM」の抗議デモを破壊的な方向に誘導している勢力が社会主義者で極左の「アンティファ」だとしたら、これと同じ役割を果たしている極右の集団が「ブーガルー」なのだ。もちろん、「アンティファ」と「ブーガルー」は相互に敵対している水と油の関係にある集団だ。全米各地で行われている「BLM」の抗議デモでは、「ブーガルー」のメンバーが武装して車に乗り込み、デモ隊に突っ込んだり、また自動小銃のAR-15を取り出し、デモ隊を脅す場面も見られている。今後、「アンティファ」と「ブーガルー」が同じ抗議デモで暴力的に激しく衝突し、収拾がつかなくなる状況にもなってくるはずだ。それこそ、内戦の本格的な発生を予感させる状況にもなりかねない。

トランプ大統領は、抗議デモを破壊的な方向に誘導しているとして「アンティファ」を非難しているが、トランプ支持者の極右集団、「ブーガルー」は「アンティファ」以上に危険な勢力なのだ。

実は「Qアノン」が中心

さて、これがいま注目されている「ブーガルー」の実態だが、これはトランプの岩盤支持層を構成するひとつの勢力にしか過ぎない。白人至上主義やネオナチ、そして「KKK」を始め、社会の周辺部に追いやられて白人優越思想を唱えるあらゆる集団や組織のほか、ワクチン強制接種が個人の自由に対する連邦政府の過度な介入だとして反対している反ワクチン運動など、多様な集団がトランプの岩盤支持層にはいる。極右といってもさまざまだ。

そして、それらの共通なプラットフォームとなり、まとめる動きをしているのが、「Qアノン」なのだ。やはり「アメリカ第2革命」を主張し、トランプこそ革命の真のリーダーだとする「Qアノン」は、あらゆる極右集団が結集できる共通の思想を展開し、結集の基軸となっている。

イスラム原理主義組織には過激な「IS」という組織があるが、「IS」はさまざまな原理主義運動が思想的に結集できるプラットフォームとしての役割を果たしている。「IS」はさまざまな原理主義組織のメンバーを引き付け、こうした組織からメンバーが「IS」へと結集している。

調べるとはっきりするが、「Qアノン」も「IS」と同じ役割を果たしているようだ。「Qアノン」の展開する思想は、トランプの岩盤支持層を構成する右派から極右まので組織や集団が、いわば共通項として納得できる内容なのだ。「Qアノン」が果たすプラットフォームとしての役割の意味は大きい。

「ブーガルー」の背後にはだれがいるのか?

では、「ブーガルー」の背後にはこれに資金を提供している勢力は存在するのだろうか?前回のメルマガでは、「アンティファ」の主要な組織に資金を提供しているのは、ジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティー」や「フォード財団」、そして「ケロッグ財団」など「カラー革命」や「アラブの春」を主導した組織を資金的に支援していた同じ財団だった。これらの財団、ならびにNGOはいま香港で行われている民主化運動の組織も支援している。こうした支援の背景には、エリート層が追求する壮大なアジェンダがあるようだ。これは次回に詳しく書く。

では「ブーガルー」はどうなのだろか?「ブーガルー」も「アンティファ」と同じように、抗議運動を過激な方向に誘導する役割を果たしている。では「ブーガルー」の背後にもなんらかの勢力が存在しており、資金的に支援しているのだろうか?

調べているが、いまのところこれはまだ見えない。だが、「Qアノン」がトランプ政権そのものが仕掛けたキャンペーンのひとつであるという事実を見ると、「ブーガルー」もやはり壮大なアジェンダの一部であると考えて間違いないように思う。

ではそれはどのようなアジェンダなのだろうか?実はそれは、「世界経済フォーラム(ダボス会議)」やグレタ・トゥーンベリの地球温暖化反対運動とも絡んでいる。

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