緊張を隠そうとすればさらに緊張するという悪循環
私の著書15冊(累計20万部!m(__)m)の中から、今、みなさまにお伝えしたい1ページをご紹介いたします!
●『人前で「あがらない人」と「あがる人」の習慣』 / 2017年10月(明日香出版社)出版
あがらない人は、緊張を悩まない。あがる人は、緊張を嫌う。
全国のカルチャースクールであがり症の克服講座を行っていますが、カルチャーの講座のご担当者が口を揃えておっしゃるのが、
「他の講座に比べて、窓口や電話より、ネットでのお申込みが圧倒的に多いのです。」
「電話や窓口でも、あがり症講座ということを口にしたがらない受講者さんが多いのですね。」というお話。
もと重度のあがり症の私は、そんなことははじめからわかっていたので、自分が主催する講座は、もともとネットでしか受け付けしていません(笑)。
当然、自宅へのお電話やDMの郵送は一切しないのですが、それでも断固拒否する旨、念を押される方、中には偽名で申し込まれる方も…。
「立場上、あがり症であることを公表したくないので、【あがり症】という言葉を除いた領収証をください。」というご要望もあります。
当然ながら、【セミナー風景画像の顔出しNG】を強く訴える方も少なくありません(苦笑)。通常、自己啓発系セミナーで、そこまで超お忍び、厳戒態勢の中、受講されることは珍しいのではないでしょうか。まさに、「あがり症で悩む人が通う講座」だからでしょう。
私も17年間、家族にも友人にも同僚にも、あがり症であることを隠していたので、公表したくない気持ちはわかります。だからこそ、断言させてください。
「緊張を隠そうとすればするほど、緊張の悩みから逃れられない」ということを。
緊張することを嫌い、それを隠そうとするから、より緊張するようになる。反対に、緊張を受け入れ、うまく付き合おうとすれば、あがらなくなる。
「鶏が先か、卵が先か」という因果性ジレンマなのですが、この因果関係は、実はなかなか根が深いのです。
ここで考えてほしいのは、「あがらずに話せる方法を学ぶこと」はそれほど恥ずべきことなのか、ということです。話し方、スピーチスキルを学ぶことは、ビジネスにおいても非常に有益なことであり、人前で話す機会が求められる立場だからこそ磨こうとするスキルです。
緊張する自分を認めることから始まる
ひとつ、印象に残っている方のお話をしますね。ある会場でビジネスマン向けのセミナーを行った際、あがり症で悩む新入社員と、その上司の方が受講されました。その上司の方は、「自分はあがり症で悩んではいない」とのこと。
しかし、その方のお話を伺うと、
「スピーチやプレゼンで緊張して失敗したことは何度もあります。あがり症は病気や異常なことではなく、あがったときにどう付き合い、対処する努力をするかだと思います。」……素晴らしいです!!
緊張を忌み嫌うのではなく、緊張する自分を認め、受け入れたときはじめて、あがり症克服へのスタートラインに立てるのだと思います。
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