ポリアンナ症候群
【毎日】は1面下段の定番コラム「余録」を取り上げる。
楽観的な主張、楽天的な言葉の方が選挙で有利、影響力が大きいのだという。心理学で「ポリアンナ効果」と呼ばれるわけは、日本でもアニメになった「少女ポリアンナ」の物語に由来する。不幸な境遇でも「良かった」面を探し出して人を幸せにする物語だったらしい。ところが、少女の名前には「症候群」がつくこともあると。
コロナ感染が広がり、九州や中部が水害で喘いでいる時に、「全国一律」、前倒しで行われようとしている「Go Toトラベル」。余録子には、需要喚起策に前のめりの政府が「楽観的に過ぎる」と見えている。最後に、「政治のポリアンナ症候群のさんたんたる始末は、米国やブラジルのコロナ対策の示す通りである」と結んでいる。
●uttiiの眼
ポリアンナのアニメは観たことがなかった。不幸のどん底にありながら、健気に前向きに生きようとする少女の物語は、感動を呼んだことだろう(ポリアンナ効果)。ただ、皮肉屋の私から言わせれば、モンティパイソン的なパロディーの餌食にもなりやすい形にも見える(ポリアンナ症候群)。
ポリアンナ症候群とは、「楽観主義が過ぎての現実逃避を指す言葉」と説明されている。「正常性のバイアス」に少し似ている。
米国の惨状
【東京】は1面国際面に米国の驚くべき現状について、ワシントン特派員の記事。見出しから。
若者から拡大 医療危機
米コロナ感染1日6万人
政権楽観論吹き飛ぶ
米国の1日あたりの新規感染者は、ニューヨークなどが感染の中心だった4月頃の倍、6万人前後になっている。トランプ政権は若者の感染が多いと高を括っていたが、高齢者にも感染が拡大。医療崩壊が危ぶまれる状況で、死者も再び増加しているという。
感染が再び増加し始めた6月半ば、政権は「新規感染者の半数は35歳未満。若者は重症化しにくい」とし、トランプ大統領は独立記念式典の演説で「ウイルスは99%無害だ」と吹聴。実際には若者への爆発的な感染拡大で、免疫力が弱い高齢者らにも感染が広がり、医療機関が逼迫する状況になっているという。
調査によれば、病院の集中治療室(ICU)使用率は、フロリダとアリゾナで100%、テキサスでも91%といい、この3州での死者が急増。それぞれで、1日に数十~百人超となり、全米の新規死者数も1日1000人近くまで増えている。
●uttiiの眼
まさしく《毎日》の余録子が言う「ポリアンナ症候群」の話。楽観論は吹き飛び、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は「完全に封じ込める前に経済を再開した。50年後、歴史的に反省するだろう」と案に政権批判を行ったというが、トランプ氏に反省する気配はなく、経済活動や学校の再開を急ぐ姿勢だという。特に問題の3州はいずれも共和党知事の州。記者は「大幅な再閉鎖に消極的で、危険な状況が続く恐れはぬぐえない」と言っている。
日本でも、経済界にせっつかれたのか、理屈にならない理屈を弄して政府はGo Toキャンペーンを前倒しで実行しようとしている。この先の感染状況の推移によっては、「トランプ・ボルソナロ級の愚策」と指弾されることになるだろう。
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