ノルアドレナリン
続いて、ノルアドレナリンですが、ノルアドレナリンは意欲を出す際に必要となる神経伝達物質ですが、一方で怒りのホルモンなどとも呼ばれていて、やはり2つの側面を持っています。
いわゆる覚醒に必須となる物質で、交感神経を刺激して覚醒させてくれるので、トレーニングをする際にもぜひとも分泌をさせておきたい物質でもあります。しかし、その反面でストレスに対しても反応をするため、例えば不安であるとか恐怖といった感情も引き起こしていきます。やはり過剰な分泌の場合にはデメリットが大きくなります。
私たちが心身問わず外部からのストレスに対して即座に的確に反応出来るのは、このノルアドレナリンがあるからなのです。「闘争か逃走か(FIGHT OR FLIGHT)というフレーズがありますが、これはアドレナリンの効果を表すフレーズであります。ノルアドレナリンからアドレナリンが作られるため、この2つは更に密接な関係にあります。
つまり外部から何か強いストレスを受けた時に、とっさにどういった行動をとるのかというのは、ノルアドレナリンやアドレナリンが密接に影響しているのです。ちなみにアドレナリンは代謝酵素のほとんどが副腎にしか無いので自律神経に主として作用して身体への影響が大きいのですが、ノルアドレナリンは副腎以外に脳内の中枢神経や交感神経でも分泌されるためメンタル的な影響がより大きいとされています。
セロトニン
セロトニンはドーパミン、ノルアドレナリンと並んで、脳内の三大神経伝達物質です。チロシンからではなく、トリプトファンを材料として作られますが、覚醒系の神経伝達物質の調整役のような役割を担います。体内でのセロトニンはその大半が腸内にあり、実は脳内にはわずか2%程度しかありませんが、その役割と機能は絶大です。
セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンが5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)へと変換されて作られますが、更にはメラトニンへと変換されていくため、睡眠とも深く関わっている物質です。
セロトニンにも交感神経を刺激して、血圧、心拍数、体温などに影響を与えて覚醒に関わりますが、それ以上の役割としてノルアドレナリンやドーパミンといった興奮系、快楽系の物質を調整してくれる役割が大きく、感情を安定させてくれる役割を担います。睡眠時などには重要となる一方で、トレーニング中に出てしまうと集中力を欠くなどの症状が出てきます。
どの神経伝達物質も欠かすことができない重要なものですが、単独で成り立つものではなくバランスが重要となります。過度な分泌はメリットをデメリットが凌駕してしまいます。
脳内の神経伝達物質という点においては、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンがそれぞれのシーンにおいて、上手にバランスを保つことが重要なのです。チロシンの摂取によるカテコールアミンの分泌促進もさることながら、一方でBCAAによるセロトニンの分泌抑制はトレーニング時には有効です。
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