日中関係でも疑惑が
二階氏は、早くから日中友好活動、日韓友好活動にも積極的に携わっています。2000年には「北京オリンピックを支援する議員の会」に参加しています。
韓国、中国との関係が悪化した2015年2月には1400人の大訪問団を率いて韓国を訪れています。同年の5月には3000人の大訪問団を率いて北京を訪れました。この訪問団は、官庁、各都道府県、旅行業界、運輸業界など二階氏と関係のある業界に大々的に動員がかけられたものです。
日中関係、日台関係、日韓関係を良好なものにしようというのであれば、筆者としては何も文句はありません。が、二階氏の政治活動には、必ず利権が結びつくのです。
たとえば、二階氏の地元の和歌山県で経営破綻した「グリーンピア南紀」が、格安で中国系企業「香港BOAO」に売却されましたが、これは二階氏の働きかけによるものなのです。
香港BOAOのオーナーと二階氏は昵懇の間柄であり、香港BOAOオーナーの日本人妻は、二階氏が関係する企業の取締役を務めていました。
しかも、この「グリーンピア南紀問題」はこれだけにとどまりません。「グリーンピア南紀」は、新装開業するということを条件に香港BOAOに売却されたのですが、いつまで経っても新装開業をする気配がないので、地元の議会が契約解除を決議しました。
すると、香港BOAOは違約金を求め、最終的に地元は1億7000万円を香港BOAOに支払う羽目になったのです。
弱小派閥なのに最有力の不思議
二階氏は、自民党で二階派と呼ばれる派閥を率いています。この二階派は、国会議員の人数でいえば、自民党では5番目であり、弱小勢
力といえます。が、二階派のパーティー集客力は、自民党でも最高とされおり、一回のパーティーで4000人を集めたこともありました。
現代の日本政界において、パーティーの集客力というのは、その政治家の権力を示すバロメーターでもあります。パーティーで人を集めれば集めるほど資金を得ることができます。パーティー券は数万円もするのに、ほとんど食事らしい食事も出ないので、その差額は主催者側の収入になるのです。また人がそれだけ集まるということは、選挙の時の集票にも大きく関係するというわけです。
しかし、この政治家のパーティーというのは、「癒着」や「利権」の温床になっているのです。
企業や業界団体が政治家に献金をすれば申告し公表しなければならず、世間から批判を受けやすいものです。しかし、パーティー券の購入であれば、それを逃れることができます。
政治資金規正法では、一応、20万円以上のパーティー券を購入した者の氏名等は、申告しなければならないことになっています。が、一つの企業からの参加でも、役員や社員などがそれぞれ独自にパーティー券を購入したことにすれば、申告の必要はないのです。
20万円以上のパーティー券購入の「あっせんをした者」も申告しなければならないことになっていますが、あっせんをしたかどうかというのは、どうにでも言い逃れができるのです。
政治家としてはパーティー券を買ってくれる企業や業界には、便宜を図りたくなるはずです。
ちなみに、二階氏のパーティーに参加するのは、ほとんどが観光業界、建設業界の関係者だったそうです。世間的に言えば、二階氏は観光業界、建設業界から多額の献金を受けていたのと同じはずです。
ですが、現行の法律では、パーティー券という形を取っていればOKということになっているのです。そして、二階氏のパーティー券をたくさん買ってあげる業界は、今回のGo Toトラベルのように大きな恩恵を受けることができるのです。
日本の政治というのは、なんて古い世界なんでしょうね。そして、こういう政治家が、日本の政権与党のNo.2なのです。新型コロナ対策で政府が不手際ばかりになるワケです。日本の政治システムのあまりのお粗末さが新型コロナ禍で露呈してしまったということになるでしょう。