老齢厚生年金と失業手当を同時に貰えるケース
では次に65歳前の老齢厚生年金と失業手当を同時に貰えてしまうような形になってしまう場合。そんな事があるわけなかろう!と言われそうですが、ちょっとした合法的な裏技になります。
2.昭和33年3月5日生まれの女性(今は62歳)
この女性の生年月日から60歳から老齢厚生年金が貰える人。老齢厚生年金の月額は5万円とします。この度、62歳中の令和2年7月22日に退職する事になった。
令和2年8月29日にハローワークで求職の申し込みを行う。失業手当日額は120日で、日額は4,000円とします。さて、求職の申し込みをしたので、その翌月の令和2年9月分の年金から停止になります。
ところがこの女性は失業認定日には出向かずに、令和2年10月7日に再就職を決めた。厚生年金加入ではなかったが雇用保険にも加入して1年を超えて雇用される事が見込まれる職に就いた。
職に就いたから、もう年金の停止はしないでほしいと年金事務所にお願いしたが、退職日の翌日から1年間は停止解除はできないという回答だった。ただし、年金も失業手当も貰わない月は3ヵ月後に年金が支払われるとの事(確認払いですね)。
令和2年9月分から全く年金は貰ってないから、早ければ9月分が12月に支払われると思っていた。しかし、9月分は支払われなかった。なぜなのか?
ハローワークに求職の申し込みをしてから7日間の待機期間と呼ばれる期間が設けられています。これは最初の事例の給付制限期間3ヵ月に似たようなものですが、求職の申し込みをした人は必ず7日間の待機期間が設けられている。
給付制限期間や待機期間というのは失業手当を貰う日には入りませんが、年金を停止する際は貰ったものとされる。貰ったものとされるから、その待機期間や制限期間に引っかかる月分は年金が停止されてしまう(事後精算で最終的に年金を払い戻しはしますけどね^^;)。
じゃあこの女性はどうなってるかというと、令和2年8月29日に求職の申し込みをしたから、令和2年9月4日までが待機期間という事になりますね。9月は引っかかってるから年金停止の月です。なので9月分は事後精算までおあずけ。10月分から3ヶ月ごとに年金が支払われるようになる。
10月分は令和3年1月、11月分は令和3年2月、12月分は令和3年3月…と毎月支払いという感じですね。これが退職日の翌日から1年経過する令和3年7月まで続く。令和3年7月以後に事後精算で令和2年9月分の1ヵ月分を返す。
このように求職の申し込みをしてしまった以上は失業手当を貰わなくても年金は停止されたり、毎月不定期に支払われたりする。こちらの女性は求職の申し込みをして早々に就職しましたが、結局は年金を損する事無く貰えた事にはなります。
さて、令和2年10月7日に早々に就職しましたが、求職の申し込みをしたにもかかわらず、失業手当は貰わなかったですよね。120日分(4,000円×120日=48万円)の失業手当を放棄する事になる。
ところが給付日数の3分の1以上を残して再就職すると、支給残日数の60%を手当として受給する事が出来る(3分の2以上残した場合は70%)。
よってこの場合は48万円×70%=336,000円の手当(再就職手当という)を貰う事が出来る。
再就職手当は早々と就職してしまうとあまり失業手当を貰えない事になるから、早く就職できた人にはお祝い金としてこの再就職手当が用意されています。まあ、失業手当で貰う給付日額を再就職手当という名前に変えて、一時金で支給するものですね^^
失業手当で貰ってしまうと年金は停止されてしまいますが、このように別物の給付で貰うと年金も貰えて手当ももらえたような形になる。
よって、失業手当と年金を少しでも同時受給みたいな形にしたい人は、失業手当の受給日数をせめて3分の1以上は残して1年を超えて雇用される事が見込まれるような会社に早く就職してしまいましょう^^
再就職手当は再就職後1ヵ月以内に申請とか、再就職先で雇用保険に加入できる事というような条件はありますが、これからハローワークに行くつもりという人は失業手当だけでなく再就職手当などのお得な給付も考えておくといいですね!
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