仕事に誇りをもてると、それに従事している自分にも誇りをもてるようになる。目の前の子どもに、どういう価値のある人間として立つのか。自分が教えることで、他にないどういう価値を提供できるのか。そこに、教科書通り、マニュアル通りでないオリジナリティが出てくる。
仕事への誇りは、心の支えになる。
いくつになっても、挑戦している人は若々しい。私がかつて見てきた、尊敬したくなる現場の先生方は、50代以降にしてなお輝きを増す魅力溢れる方々だった。枯れる兆しもなく、気持ちが張っている先生方である。何なら、80代なのに、20代よりも精神的にずっと若々しい人もたくさんいる(肉体はさすがに別らしい。腰とか膝とか目とか耳とかにくるようである…)。
ご本人たちは意識していないのかもしれないが、そういう人たちと話すと、やはり仕事に誇りをもち、それが好きなようである。「もうこんな年だけれども」とよく言う。「けれども」なのである。「だからどうせ」「でも」「だって」の対極である。「けれども」からは、表面には見えない奥底から沸々と湧き上がってきそうなエネルギーを感じる。
どうすれば仕事への誇りをもてるのか。
まずは自分が今目の前でやっていることに、少しでも自信がもてることである。それには、自分のやっていることが、誰かの幸福に貢献できていると感じられること、自覚していることである。これは、仕事の本質であり、全ての職業に共通してい言えることである。
ちなみに外的要因でいうと、「管理職」「同僚」「保護者」のいずれかが「敵」に見えると、かなり萎える。特に同僚の励ましや承認がないのは厳しい。もし職場の若手が元気がない、大人しすぎるとしたら、同僚である自分がやるべきことをやっているか振り返る必要がある。「安全・安心」の信頼ベースがないと、たとえ高い志があっても、人間は挑戦できないからである。
何となく暗い日本の現状を打破して、明るい未来をつくっていくのは、教育の力である。そのための重要な任務を背負っているという自覚と誇りをもって、仕事をしていきたい。
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