台風10号の接近を前に多くの方が早めの避難行動を取ったこと、さらにその避難先にこれまでになくホテルが選択されたことが大きく報じられています。批判の声も多く聞かれた「Go Toトラベル」も、「台風ホテル避難」を後押しするひとつの要因となったようです。この流れを、「避難所の混雑緩和と地元のホテルを助けることにつながるのであれば意味あること」とするのは、無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』著者の廣田信子さん。さらに廣田さんは、本格的な台風シーズンまでに東京都も「Go Toトラベル」対象に加え、都民にもホテル避難の選択肢を用意すべきとしています。
早めのホテル避難に「Go Toトラベル」が役立った
こんにちは!廣田信子です。
最大級の警戒をした台風10号が、各地に爪痕を残して去りました。九州では、まだ停電が続いている地域が多数あり復旧が急がれています。猛暑の中、冷蔵庫も冷房もなしで過ごされている方々、復旧工事に取り組まれている方々はほんとうに大変だろうと思います。
早くから厳戒態勢をとったことで、台風の被害は、最悪の予想ほどにはならなかったことが、せめての救いです。高波や河川氾濫による水害もぎりぎり起こりませんでした。
災害は、多くの人が最悪の事態を想定して備えると、最悪の事態が遠のく…といわれます。人が意識を向けることで起こる現実が変わるという、量子力学の世界の不思議を感じました。
今回、早めに予約してホテル避難をした方が多くて、台風進路に当たる地域では、ホテルが満室だったところも多いと言います。ホテルに避難しようという発想は、昨年までは一般的ではなかったと思います。
今年、ホテル避難が急増したのは、甚大な被害が予想されるとして、早めの避難が呼び掛けられていたこと、コロナ禍で、人が集まる避難所に行くことに躊躇する気持ちがあったこと、が大きいのでしょうが、
ここまで進んだのは、「Go Toトラベル」の影響もあったようです。避難目的の宿泊であっても「Go Toトラベル」の対象ですから、宿泊費が35%引きになることも、ホテル避難への背中を押したのです。
台風襲来が予想されると、観光地のホテルは旅行客のキャンセルが相次ぎますが、その穴を、避難目的の地元の方々が埋めた形になります。ホテルに避難される方が増えると、避難所の混雑も、その分解消されます。
観光客が東京などから来ることを心配して、「Go Toトラベル」に反対した地元の人たちから、今回は、「Go Toトラベル」に感謝という声が上がったといいます。
マイクロツーリズムと言われる地元や近距離への旅行、宿泊が、今の厳しいホテル・旅館業界を何とか支えているようです。さらに、災害時の心強い避難先としての役割が加わることで、「Go Toトラベル」参加の可否を巡って、地元住民とホテル・旅館がぎくしゃくしたことが解消され共に地域の経済復興を頑張ろうという絆が結び直せたら…と思います。
こらから10月中旬に掛けて、本格的な本州襲来型の大型台風がやってくることが考えられます。今後も、「Go Toトラベル」を利用して、早めのホテル避難をしていただきたいと思います。
水害や土砂崩れの心配がある地域にお住いの高齢者の方は、特に…です。ご自身の安全のために…はもちろんですが、それが、離れて暮らす親族の安心につながり、避難所の混雑緩和にも役立ち、地元のホテルを助けることにもなるとしたら…ものすごく意味がある行動だと思います。
友人が、もし、田舎の親のところを台風が直撃しそうだったら一番近くの街のホテルに私が替わりに予約を入れて、早めに行ってもらうように頼む。来年以降も、「Go Toトラベル」みたいな、災害時特別割引みたいな制度が残らないかな~と。私も同じことを思いました。
で、本筋ではないけど、本格的な台風到来までに、東京都も「Go Toトラベル」の対象に加えてください。だいぶ感染者数も落ち着いてきましたし、都内在住の人が、都内のホテルに宿泊するのは、何の問題もないはずですから。
普段は近すぎて泊まらない、ちょっといいホテルに泊まってみるのもいいかもしれません。私たちはコロナとの共存だけでなく、災害リスクとも日常的に共存しなければならないのですから。
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