中国が招く「コロナ再拡大からの第三次世界大戦」最悪のシナリオ

 

コロナ再拡大が戦争を招くという最悪のシナリオ

そして今、顕著にみられるのが米中間の綱引きで、各地域における【踏み絵】です。つまり「どちらに与するか、どちらのグループに属すか、選べ。そのためには、相手と手を切るのだ」と迫っています。今、その踏み絵運動で最も悪影響を受けていると考えられるのが、世界が待望するコロナワクチン開発と供給を巡る国際的な協調体制です。

UN/WHOの音頭の下、COVAXファシリティの取り組みがスタートしていますが、今、ワクチン開発で先頭を走る米中露は参加しておらず、情報も共有していないため、国際公衆衛生と疾病対策に必須とされる情報の共有がブロック化によって遮断されているという状況です。

ブロック化と情報の遮断は、ワクチンの世界的な供給を遅らせ、コロナ感染の再来に十分に対応しきれず、結果、第一波に比べてもより深刻なパンデミックを招く可能性が高まると思われ、すでに欧州各国で見られているような再度の都市封鎖や緊急事態宣言の発令などによる経済活動(ヒト・モノ・お金の流れ)が滞ることで、回復基調にあったはずの世界経済は、再び下降曲線を辿ることになりそうです。

疾病によって引き起こされる世界的な大恐慌、そしてそこに相互不信の高まりが重なると、世界が向かう先は自ずとブロック間の闘争、つまり戦争になるという負のスパイラルが世界各国を襲う可能性が高まります。

コロナパンデミック以前に、すでに現れていた【2度の世界大戦直前の状況に類似した対立構造と経済的なスランプ】という兆候が、コロナを機に「世界レベルでの対立とブロック化の顕在化」という形で加速されてきています。そして、国際協調体制の綻びが今、アルメニアとアゼルバイジャンとの間の紛争、シリアやイラクの国内情勢の不安定化、東地中海での多国間での権益争いと武力的対立の顕在化、最終局面にまで来ているとされる中台間の緊張関係、ベラルーシ問題の激化などを生み、紛争解決のための国際的な調停・仲介のメカニズムを次第に弱体化させ、マヒさせ始めています。

これまで紛争の調停に携わってきた身としては非常に残念ですし、同時にこれまでにない無力感と恐れに苛まれています。

取り留めのない内容になってしまったかもしれませんが、今回ご紹介したような負のシナリオが、私のただの思い過ごし・妄想であることを祈ります。

皆さんはどうお感じになりますか?またご意見などお聞かせいただければ幸いです。

 

image by: Shutterstock.com

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世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。

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