正社員という日本の病。なぜこの国では正規雇用がバイトより悲惨なのか

 

日本経済はそろそろ、その異常性に気づくべきです。非人間的だからだけではありません。その時代、その時代における「最先端」とは無関係の、過去の世代に権限を与え、報酬を与えるというシステムがまず非効率であり、壊滅的です。それだけではなく、時代を代表し、技術革新や業務改革を進める最前線の世代には、十分な権限も報酬も与えない、従って自発的なモチベーションによってパフォーマンスを最大化することが「ない」というのは、全く経営として論理に反する態度だと思います。

そうではなくて、本来業務とは異なる例外対応や、違法スレスレの危ない橋を渡らせ、それに耐える人間が「忠誠心」があるとして、スキルとは別の基準で出世する、そんなことを70年も続けてきたら、それは経済として崩壊するのは当たり前です。

病んでいるのは、正規雇用の方です。日本式の経営とか雇用というのは、もう根元から腐敗しているのです。管理職、専門職には国際的な労働市場を反映した実力主義、人材の流動化を行うこと、現場労働には生産性に見合った分配を行い、自動化できる部分は自動化して、人間の仕事としては創造的な内容にドンドンシフトしてゆくべきです。

その結果として、日本経済の生産性が上がり、一人一人の分配も大きくなる、その上で正規非正規の区別も解消してゆく方向に、改革の舵を切って行くべきです。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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