【サーチ&リサーチ】
記事そのものの紹介はできるだけ少なくして、クマ出没の背景や原因などに関する情報をまとめるようにする。
2015年11月18日付
この年、山形県はブナが大豊作で、クマの目撃回数も前年に比べて少なかったという。2016年は凶作が予測されていて、クマへの警戒が呼び掛けられている。
2016年4月10日付
福島県内で、ツキノワグマの大量出没が予測されている。前年にブナが大豊作だったため、出産ラッシュになっていた可能性が高いとして。さらに、少雪のため、冬眠を終えて親子が活動し始める時期が早まる可能性があるとも。
2016年5月12日付
案の定、5月に入り、クマに遭遇する事故が増加。長野、岩手、新潟、山形、群馬、石川でクマに襲われる被害。
※2016年春、東北各地でクマによる人的被害が続出。岩手では5月の目撃情報が前年の5割増しとなり、過去最高に。ところが、この年の秋はブナの実が大凶作で、クマが人里に降りてくるとして警戒が呼び掛けられている。ブナは豊作でも凶作でも、クマの被害は増大することになってしまうが、専門家は次のような解説をしている。
2016年8月6日付
「日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長によると、ドングリ類が豊作になると母グマの栄養状態がよく、翌春に子グマが多く生まれるという。個体数が増えた状態でドングリ類などが不足すると、大きなクマに追われた若いクマから山を下りてエサを探すため、目撃や食害が増えるという。米田理事長は「エサが不足すると、10月ごろに大人のクマが山からおりてきて重大事故につながる恐れもある」と指摘」している。
vブナの実凶作のこの年の秋、東北や北陸はもちろん、各所にクマが出没。兵庫県内でも5年ぶりにケガ人が出る。その他、奈良、京都でも負傷者。東京の青梅、岡山、鳥取で目撃情報。翌年2017年も、ブナの実不作の影響で、クマの被害は多かった。
※2020年については、ブナがかなりの凶作で、そのことが被害の増大につながる懸念が示されている。なかでも石川県の対応が顕著なものに。
2020年10月9日付
「石川県内で相次ぐ熊の出没を受け、県は8日、最高の警戒レベルとなる「出没警戒情報」を発令した。10年ぶりの発令で、県民に一層の注意を呼びかける」という。
※その1週間後の記事。心配されたとおりのことが…。
2020年10月16日付
「16日午後、石川県白山市明法島町で、57~95歳の男女4人がクマに襲われた」。95歳の男性は重傷。ドクターヘリで搬送された。
(uttiiの眼)
石川県白山市で4人を襲い、射殺されたクマは飛び抜けて凶暴な印象を持つ。他のケースと同じなのか、少々疑問がある。
ブナの実の豊凶がクマの被害の多寡に影響していることは間違いないのだろう。しかし、豊作の翌年春に多くの子グマが生まれ、その年にブナが不作だった場合、被害は単に不作の時よりも大きくなるということがあるのかもしれない。いずれにせよ、ブナの豊凶が被
害の数や目撃情報の数に影響してくるのは間違いない。しかし、もっと構造的な要因としては、今朝の記事が書いている「森に人が入らず、クマの生息域が広がった」ことを考えなければならないと思われる。
あとがき
以上、いかがでしたでしょうか。
本州の山地であれば、基本的にはどこにでもいると覚悟すべきツキノワグマ。なんとか事故を防ぐためには、警戒するだけではなくて、他にもやらなければならないことがあるのでしょうね。
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