ですが、問題はその「終わり方」が見えないということです。とにかく、本稿の時点ではトランプは、あくまで「選挙結果は盗まれた」のであり「不正な勝利」から次期大統領の座を「奪い返す」という姿勢を変えていません。
では、これからの展開にどんなシナリオがあるのでしょうか?
1)遅かれ早かれ負けを認めるという可能性は勿論あると思います。現時点では、CNNなどが、メラニアとジャレッド(クシュナー=女婿)が御大に「敗北を認めるように」と説得していると報じています。また、バイデン陣営の盛り上がりを横目に、土曜、日曜と連日ゴルフに興じているのも異様なら、その際にかぶっている白い帽子が「白旗」のように見えるという説もあります。
2)一方で、何も言わず、何もせず、従ってバイデンをホワイトハウスに招待して業務引き継ぎを行うことも何もなく、静かに1月20日に消えていくというシナリオもあります。本人がそれを望まなくても、メディアはもう「ガン無視」に近い姿勢を保っていますし、特にツイッター社は「選挙結果について虚偽情報を含むツイート」は削除するとしていますから、一方的な主張もできないわけです。ですから、静かに消えていくという可能性もあります。
3)問題は、先に述べた選挙費用の借金ではなく、その前からトランプ・オーガニゼーションが抱えていると言われる、400億の借金です。これの返済期限が迫ってきているという説があり、仮に大統領を退任するにしても、これをどう処理するかは頭の痛い問題となっているはずです。ちなみに、この借金ですが、NYタイムスの報道によれば貸しているのはドイツ銀行で、ロシアとサウジが裏書きしているというのです。ということは、仮に政治亡命するにしても、この2国は難しいことになります。
4)トランプは、選挙「不正」を告訴すると息巻いていますが、反対に大統領を退任したら自分が訴えられる可能性は大きいわけです。脱税、背任、偽証、選挙資金の違反、横領、セクハラなど、罪状は山のようにある中で、民主党内には刑事事件、民事事件のどちらも「しっかりカタをつけてもらうべき」という声が大きいのです。
5)そこで、考えられるのは亡命ですが、前述したようにサウジとロシアは難しそうです。後は、ドイツ銀行が絡んでいる中では、EU圏もダメでしょう。そうなると、例えばジョンソンの英国とかネタニヤフのイスラエルなど、トランプが在任中に良好な関係を結んだ国が対象に浮かび上がります。この両名、つまりジョンソンとネタニヤフが、真っ先にバイデンに祝意を送った背景には、「ウチは亡命を受け入れませんよ」という意思表示も入っているに違いありません。さらに言えば、菅総理も同じです。サッサとバイデンに祝電を打ったのは、トランプへの「ウチは今後の面倒は見ない」という宣言という意味合いがあると思います。