【サーチ&リサーチ】
2020年10月20日付
NHKのテレビ設置届け出義務化要望について、武田総務省は、「かなり厳しい意見がNHKに寄せられていることは承知している」として「今後の議論を見守りたい」と。NHKの大義名分は、受信料徴収コスト300億円の費用削減。
2020年11月4日付社説
「届け出の義務化は唐突に過ぎる」というのがこの問題に関する《読売》の基本的な評価姿勢。「届け出を強制すれば、テレビの購入をためらう人が出かねない。若者に広がる「テレビ離れ」が加速し、結果として言論の多様性を損なうことにならないか」というのは、新聞協会が今回行われた聴き取りで表明した懸念と重なる。さらに社説は、NHKが「契約していない人の氏名を、公益企業などに照会できるようにする制度の導入も求めた」ことを批判している。「ガスや電力の事業者から情報を得ることを想定している」らしく、家の中に立ち入ることがある電力やガスの事業者にスパイさせようということだろう。これに対し《読売》は「個人情報保護法では原則、本人の同意なしに第三者に情報提供はできない。不安を抱く国民は多かろう」とする。
●uttiiの眼
総務省は、経営合理化を条件にして、NHKの要望を認めていくのではないか。そのような気配を感じる。しかし、この中身にはいくつも大きな問題がある。NHKの強引さは尋常ではなく、届け出義務化だけでなく、電力会社やガス会社に届けていない人の名前を通報させようというに及んでは、個人情報保護の観点から到底許されまい。応じれば電力会社らは数多の訴訟に直面することになるだろう。
根底にあるのはNHKの「肥大化路線」。既にネット進出を果たし、莫大な受信料収入をさらに上乗せし、ネット事業費を受信料収入の2.5%以内とする自主ルールの撤廃の提案なども。情報環境をNHKに支配されてしまうことは、とりわけ安倍政権時代の「提灯持ち」ぶりを思い出すだけでも、この国の民主主義にとって良くないことが明らかだ。
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