しかし、77歳の老人に対してハニートラップは効かないでしょうから、ハンター氏のスキャンダルを使って、バイデン氏をコントロールするということにつながるものと思われます。
バイデン氏は当然、新大統領として中国に対して甘い対応はできないでしょう。
今までのトランプ氏の対中政策の中で、アメリカ企業の保護や知的財産権の保護に関しては、バイデン氏の支持基盤である民主党の議員団や「エスタブリッシュメント」といわれる人々も、その政策を支持していました。
つまり、バイデン氏は対中国の政策に関しては、トランプ大統領ほど過激なやり方で行うことはできないまでも、対中国強硬姿勢は継続しなければならないということになります。
当然、バイデン氏になってすぐに知的財産権の保護まで取り下げてしまえば、アメリカ経済は破綻することになってしまいますから、そのようなことはできないでしょう。
しかし、いま話題になっているデジタル人民元などの存在は認める方向になるでしょうし、また東アジアの日本や台湾に関しては、なるべく介入しないということで実行行為を避ける方向になるはずです。
つまり、「アメリカという国家の国境で、対中政策を変える」ということになり、日本は捨て置かれることになると思います。
そのような状態から「尖閣諸島は日米同盟の中」といいながら「実行行為は何もしない」という選択肢がとられることになるでしょうし、また産業スパイなども「アメリカの国内では許さない」が「日本や台湾から情報が漏れることに関しては放置する」というようなことになると思われます。
このように考えれば「日本というフィルターが存在し、それを隠れ蓑にバイデンが対中外交を繰り広げる」ということになり、日本が最も苦しい立場に置かれることになるということは間違いありません。(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』より一部抜粋)
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