魔法のスマイル浮かべ韓国に大きな選択を迫るバイデン
最後に北東アジア情勢です。ここには対韓国と対北朝鮮の政策があります。
まず対北朝鮮については、すでに外交筋から聞いた話では、バイデン大統領とブリンケン国務長官、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議内に新設されるアジア戦略トップのポジションにつくキャンベル氏は、北朝鮮からの挑発には応じず、同盟国との連携を通じて、北朝鮮の非核化を確実なものにするべく、圧力をかける方向に行くべきか、それとも戦略的無視の方向に行くべきかの協議がすでに始まっているようです。
後者の場合、オバマ政権下での“失敗”を想起させますが、前者の場合、カギとなるのは「韓国は頼りになるのかどうか?」というポイントです。
対韓国については、トランプ大統領時代にハリス駐韓アメリカ大使への侮辱やアメリカ政府をすっ飛ばした独善的な北朝鮮対策、そしてアメリカと国際社会についた嘘と誇張を、バイデン大統領とその政権も問題視しています。
トランプ前大統領のように完全無視ではないようですが、文政権から波のように押し寄せるラブコールには応じず、今後も応じない方針とのことです。
では、自由主義社会のメンバーから翻って韓国のレッドチーム化が進展するかといえば、任期があと実質的に1年ほどになった文大統領にそのようなかじ取りをする余裕も力の基盤はもうなく、すでに中国からも相手にされていない現状から、バイデン新政権が加わる新しい国際情勢において、このままでは韓国は居場所がないと言えるかもしれません。
ただ、バイデン大統領は魔法のスマイルを顔に讃えつつ、韓国に対してトランプ大統領でも迫らなかった大きな選択を迫るのだと思われますので、今後、韓国政府がどのような決断をするのか、非常に注目です。
最後に日米関係への影響です。私はトランプ大統領時代とさほど変化はないと見ています。
沖縄の基地問題や駐留米軍の負担問題などでは何らかの要求が来るものと思われますが、そこで日米関係をギクシャクさせるよりは、日米豪印で進めるインド太平洋戦略の深化が重要であると見ているようですので、対中国包囲網の要になると思われる日本に対しては、オバマ政権時代とは比較にならないほど、丁重に扱ってくるものと思われます。
日本通のカート・キャンベル氏のアジア戦略司令塔への任命だけを見ても、政権の日本重視が読み取れると考えています。
このような予測や見解も、実際にどうなるのかは、新型コロナウイルス感染症の拡大がいつどのように収まり、いつ頃、国際経済はコロナ禍から立ち直り、新たな社会経済構造を作り上げる作業にかかれるかにかかっていると言えます。
78歳という史上最高齢のアメリカ大統領の就任で、かつ国内はかつてないほどの分断の状態にある中、大統領に就任したバイデン新大統領。
ご祝儀というわけではないのですが、バイデン大統領とチームの手腕に大きな期待を寄せたいと思います。
image by: mccv / Shutterstock.com