日本は米中の間を取り持つユニークな役割を
最後に日本はどうでしょうか?これまでにも何度かお話ししていますが、これまでのところ、アメリカとも中国とも良好な関係を築いているという“両にらみ”の外交が出来ていると評価しています。
昨今、中国とは尖閣諸島問題での対立が常にありますが、経済面では互いに無視できない存在として認識し、ビジネスパスポート制度に見られるように、中国を重要視している姿勢を日本は示しています。現時点では、あまり中国のご機嫌を損ねたくないというのが方針ではないでしょうか。
対米については、従来通り「日米同盟を基軸」とした外交をしていますので日米関係は良好かつ密接だと思いますし、見事に菅総理とバイデン新大統領との2度目の電話首脳会談で「尖閣諸島問題は日米安全保障条約第5条に規定される、核戦力を含む防衛対象に含む」という言質をバイデン新大統領から取れたのは、外交的な成果と言えるでしょう。今後、沖縄の基地問題や駐留米軍の費用負担に関する協議で緊張する場面もあるでしょうが、関係が悪化する懸念はあまりしなくて良いかと思います。
しかし、今後、そう遠くない時期に米中双方から「それで結局どちらに付くんだ」と尋ねられるかもしれません。その際、どう回答すべきかは常に考えておく必要があるかと思いますが、私は米中の間を取り持つユニークな役割も期待しています。
どちらとも要綱な関係を築いていて、世界第3位の経済大国、そして自衛隊の装備・能力とも世界のトップレベルにあるという日本をフルに活用して、世界情勢のバランサーとしての立ち位置を考えてもいいのではないかと常々考えています。
2021年は恐らくまだまだコロナに翻弄される1年になってしまうかと思います。しかし、そのような中でも米中間の対立と競争が止むことはなく、両国はもちろんその他の国々も2大パワーが暴れて、角突きをする世界でどうやって自国の利害を護ることが出来るか。そのかじ取りが試される年になるのだと思います。そして、その混乱の国際情勢は、やはり米中を中心に回ることになるのでしょう。
かなりいろいろとお話しをして長くなってしまいましたので、今週はこれでおしまいにしますね。
皆さんはどうお考えになるでしょうか?またご意見、ぜひお聞かせください。
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