以前掲載の「ウイグル人への組織的レイプは『虚偽』と居直り。中国『収容所』文化の時代錯誤」でもお伝えしたとおり、世界が非難する中国当局のウイグル人に対する非人道的な扱い。各国が「ジェノサイド認定」に動き始めていますが、日本ではほぼ報じられることはなく、誰に忖度してか日本政府は未だ中国によるジェノサイドを認めません。この現状を批判的に綴るのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で今回、ウイグルで行われているジェノサイドに対する世界の反応を改めて紹介するとともに、日本政府の「認識」が中国に利用されてしまった事実を記しています。
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※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年3月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【中国】世界で相次ぐ中国のジェノサイド認定と日本のギャップ
● 中国のウイグル族弾圧は「ジェノサイド」 オランダ下院が非難決議
オランダの下院は2月25日、中国の新疆ウイグル自治区でウイグル人に対するジェノサイド(民族大量虐殺)が起きていることを非難する決議を採択しました。このような決議はヨーロッパでは初めてとのことです。
これで今年に入り、1月にアメリカがジェノサイド認定、さらに2月22日にカナダ下院がウイグルでのジェノサイドを非難する決議を採択したのに続いて、3例目となります。
もちろん中国は反発し、在オランダ中国大使館は、ジェノサイドは「全くの嘘」であり、決議は「中国への意図的な中傷」と批判していますが、中国のウイグル弾圧を看過できないと、声を上げる国が増え始めています。
アメリカは昨年6月、ウイグル弾圧に関わった中国当局者の資金凍結やビザ取り消しなどの制裁を加えることができる「ウイグル人権法」が成立しました。またイギリスでも、ウイグル人の強制労働によってつくられた産品を流通から排除するため、「現代奴隷法」を強化し、ウイグル弾圧に関わった組織と取引のある企業を政府調達から外すなど、規制を強化しつつあります。
日本では、2月22日、ファーストリテイリングやソニー、日立製作所など、日本の小売や製造業12社が、ウイグル弾圧への関与が確認された中国企業との取引を停止する方針を固めたと、共同通信が報じましたが、まだ具体的なことはわかっていません。
ウイグル問題をはじめ、中国の人権侵害をスクープし続けているのがイギリスのBBCで、先日も強制収容所でレイプされたとするウイグル人女性たちの証言を放送し、世界的な話題となりました。