相場の基本的な考え方をお伝えする目的で、東京電力ホールディングス<9501>を例にとって動画配信で語ったり、メルマガで書いたりしてきた。今回は「東電急騰が示唆する全体相場」として、今後の相場についての考え方を述べたい。
なお当メルマガ『山崎和邦 投機の流儀』はまぐまぐ大賞を受賞し、2020年は資産運用(株式の部)で1位を受賞した。ぜひご購読いただければ幸いである。
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長期の筋書きを急いで駆け上がった東電株
東電株は発行株数が多く、いわゆる「大型株」の典型である。
大発会の275円から、1月19日に「10線転換法(※筆者注)」という罫線の見方から言えば「陽転」し、1月26日には429円という具合だった。
(※筆者注:引け値が10本前の引け値を超えると「陽転」と言い、上方トレンドとなる。「3線転換」よりも遅く出るがダマシが少ない・ほとんどないのが特徴である。)
「バイデンがパリ協定再加盟」という報道から、次の展開が見えてくる
→ CO2問題拡大
→ 電気自動車に焦点が行ってテスラ株が焦点だったが
→ その充電用電気をどうするか
→ 洋上風力発電は経費かかる
→ 現存の原発の問題が浮上
→ 柏崎原発の一部分が稼働するだけで東電の経常利益は2倍になる
→ 今のままでも東電株はPER10倍なら800円、PBR1倍でも1,000円以上だから、大発会以降、100円の大台を2度超えても不思議はない。
東京電力ホールディングス<9501> 日足(SBI証券提供)
拙著に『常識力で勝つ 超正統派株式投資』(日本実業出版)というのがあって、よく売れた本だった。そこに主張したことは「常識が一番だ」ということだった。新聞・テレビから入る常識で言えばこうなる。
2018年には、通産省が積極的だった(東電は380円台から700円台へ行った)
→ 通産省肝入りで日立出身者が東電社長に(経団連会長も日立出身)
→ かくて外堀から埋めてきた
→ 昨年11月には地元の柏崎市長が原発賛成派、現地の村長も賛成派が当選
→ バイデンがパリ協定に加盟する
→ 東電株の時代が来る
という長期の筋書きで「動画」でも何度も語ったし、当メルマガでも書いてきた。こういう長期の筋書きのつもりが、大発会の275円から1月26日までに429円(高値433円)になってしまった。
そんなに急いで買わなくもいいのに、また東電のような「大通り銘柄」はジワリと強張るのが貫録なのに急騰した。「急ぐな東電、あすもある」と言いたいが、そこが当今の相場つきというものなのであろう。
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東電急騰が示唆する全体相場
<アベ・スガノミクス相場での東京電力HD 株価推移(週足・対数チャート)>
東京電力HD<9501>は一時的な急騰、1~2年の下落を繰り返す動きとなっている。現在2018年12月高値からは、104週間、▼65%(767円→266円)の調整で、過去2回の調整局面と同等の調整率で調整一巡感が台頭していた中で、株価は急速な戻りとなっている。
<アベ・スガノミクス相場での過去2回の上昇局面との比較推移から見た「今後の株価」>
株価は2020年12月安値(266円)から直近高値429円(1月26日終値)での上昇率は約+61%に達している。過去2回の上昇局面は、一段目の上げ一服後に20週程度の保合い期間への移行し、2段目の上昇局面へ向けての上昇エネルギーを蓄積する動きとなっている。ただ材料次第では、早期に動意づく可能性もある。エネルギー政策・原発再稼働などの材料を睨みながらの動きとなろう。
<全体相場・物色の流れと東京電力HD>
東京電力HDは、市場参加者の誰もが今後に期待して買いたいと思う銘柄ではなく、優良銘柄ではない。相場の物色の流れを時間経過で考えると、相場始動の初期では、まずソニーなど成長期待のある優良銘柄が買われる。そして徐々に物色の裾野が広がっていき、バリュー銘柄などへ波及し、全体が底上げされていく。
下記グラフからもわかるように、全体相場が目先の佳境場面に接近し、出遅れ銘柄として最後に残った段階で、最も出遅れていた東京電力HDへ市場資金が向かう傾向にある。
今回の東京電力HDの急騰は、一方で相場全体が佳境場面にあることを示唆していることにも注意したい。
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■ 第1部;当面の市況
(1)基調は強いが、ドルベースで見れば、今は「2世紀を跨ぐ因縁場」だ
(2)当今の相場付きは、日経平均では語れない相場――「急ぐな東電、明日もある」
(3)元ディーリング部門出身の証券マンの感覚
(4)将来の夢を買う青春期相場の典型と述べたが……
(5)今の相場は、2022年3月期を極めて大幅な増益と想定していることになる
(6)大型ファンドは、ディフェンス銘柄に保有株を増やす可能性
(7)日経平均の一段高を見込む動き
(8)今ほど、強気と弱気が別れているときは珍しい
(9)東京五輪中止の可能性大。11月から織り込み済みだろうから市場に大きな影響はない
■ 第2部;中長期の見方
(1)アメリカの分断は、NY株と無縁ではない
(2)バイデン政権の始動
(3)バイデン政権と日本株
(4)注目される米長期金利
(5)非常時における政治家の判断が、菅総理には皆無だ
(6)21年の成長率の予測値は、エコノミスト11人の予測によると、平均で1%下方に修正された
(7)米中対立激化は当面避けられる
(8)壊れた米国は立ち直れるか?
(9)「アメリカの分断」はバイデン政権では回復できないか
(10)経済の司令塔に女性を登用するバイデン
(11)バイデン政権への市場の見方
(12)宴は最後が最も賑やかになるものだ
(13)米中対立は対日圧力へと変化する
(14)米国による世界の均衡は崩れる恐れがある
(15)過剰流動性相場を揺るがすもの
(16)筆者の友人ジャーナリストの嶌信彦通信より
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『山崎和邦 週報『投機の流儀』』より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。