日経平均は大幅に続落した。前週末の米国株式市場でのNYダウは続落。米中対立再燃への警戒感から寄り付きから下落した後、大手銀に対する資本規制の緩和措置を延長しないとした米連邦準備制度理事会(FRB)の方針が嫌気された。ただ、押し目買いからハイテク株は持ち直した。米銀大手の資本規制を巡るFRBの決定を受けたダウの下落を背景に、週明けの日経平均は347円安の大幅続落でスタート。その後も、前週末の日銀金融政策決定会合において上場投資信託(ETF)買い入れ対象から日経平均連動型が除外されたことを嫌気した国内需給要因も相まって下げ幅を拡大。後場は安値圏でのもみ合いに終始した。
大引けの日経平均は前日比617.90円安の29174.15円となった。東証1部の売買高は13億8426万株、売買代金は3兆0338億円だった。セクター別では輸送用機器、保険業、機械、非鉄金属、電気機器などが下落率上位に並んだ。一方、海運業、鉄鋼、電気・ガス業、鉱業、石油・石炭製品などが上昇率上位となった。東証1部の値上がり銘柄は41%、対して値下がり銘柄は全体の54%であった。
個別では、那珂工場の火災発生で主力ラインが生産停止になったルネサスが大きく下落。ルネサスの一件から車載半導体不足による自動車生産の減少が警戒されトヨタやホンダなどの自動車関連も大きく下落した。また、業績モメンタムの鈍化が嫌気された日本オラクルや、業績下方修正で赤字幅拡大・配当減配となったAOKIHDも大幅に売られた。21年2月期営業利益は前期比約3割増の1400億円弱になったようだと観測報道が伝わったニトリHDは材料出尽くし感から売りに押さる場面もあったが、終始もみ合いとなった。そのほか、日銀の政策変更を引き続きネガティブ視した動きからファーストリテ、ファナック、ダイキンなどの値がさ株の下落が目立った。
一方、期末配当予想の増配を発表した岩井コスモが急伸。業績上方修正で一転営業増益見通しとなったパスコも大幅高。高水準の自社株買いを発表した日住サービスは一時ストップ高を付けた。海運業界での需給ひっ迫感に加えてノルウェー社に出資し液化した二酸化炭素(CO2)の輸送事業に参入すると発表した商船三井も大きく買われた。また、日本製鉄、三菱商事、国際石油開発帝石、コスモエネHDなどの資源関連株や、九州電力、中国電力などの電気・ガス業も堅調だった。そのほか売買代金上位では、任天堂、武田薬、JALなどが上昇した。