今回は「ビジネスの成否を見分ける方法」をテーマにお送りします。現在、独立・副業を意識して「フランチャイズ(以下、FC)ビジネスをやりたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。そこで事例として、FCビジネスを取り上げます。「実際、あなたにとってFCは選択肢に入るのか?」ということを念頭に、私の経験談も交えながらお話ししたいと思います。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編)
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年8月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。
FCは選択肢に入る?有望ビジネスを見分ける3つのポイントとは
1. これからは、どのようなビジネスが狙い目なのか?
FC(フランチャイズ)とは、本部が開発したブランド・運営ノウハウなどを出店希望者に貸与し、代わりにロイヤルティ(加盟店料)を徴収するというビジネス形態の1つです。
FCビジネスを行う最大のメリットとは、「成功したビジネスモデルを買える」「一通りの仕組みが、すでにパッケージ化されている」という点です。
しかしそれならなぜ、上手くいくところと上手くいかないところがあるのでしょうか?
【新規事業の選定時に、抑えておきたい3つのポイント】
自分でビジネスを始めようと思った時に、最初にやることといえば「ビジネスの選定」です。これはビジネスの成否に関わる、大変重要な選択になります。
おそらく、多くの方がもっとも気にしているのが「このビジネスを始めることで、どれくらいの見返りがあるのか?」ということではないでしょうか。
先ほどもお伝えした通り、FCビジネスは自分で一からつくる必要がない、というのが大きなメリットになっています。しかし、それは必ずしも将来を保証したものではない、という点に注意が必要です。
確かに、FCは仕組みをパッケージ化して販売していますし、本部からアドバイスももらえます。とはいえ、それ以外はまったく普通のビジネスと変わりません。あくまでも「事業を行うのは自分」であり、すべては自己責任の世界だということを、忘れないでいただきたいと思います。
FCに限らず、新規ビジネス立ち上げの場合、見るべきポイントは複数あります。数字的なことに関しては、以前の特集Vol.52「フランチャイズ特集(下)」でもお伝えしましたので、ここでは、もっとマクロな目線から、新規ビジネス選定の際の、最低限抑えておきたい3つのポイントを挙げておきます。
まずはここをクリアしないことには、後々のビジネスの苦戦が予想されるでしょう。
Next: 新規ビジネスを選定する際に、最低限抑えておきたい3つのポイント
《新規ビジネスを選定する際に、最低限抑えておきたい3つのポイント》
<その1:需要と供給のバランスはどうか(市場規模はどれくらいか/競合が多いか)?>
「競合が多いかどうか?」というのは、重要な指標の1つです。一般的には、参入者が少なければ少ないほど、ビジネスが上手くいく可能性は高くなります。
とはいえ、「市場規模が小さい」「そもそも市場がない」といった状況では、逆にビジネスを存続することが難しくなる場合があります。ライバルが多いというのは、それだけ魅力がある市場だ、ということの裏返しでもあるわけです。
市場規模が商売の成否に影響を与えた事例として、よく言われているのが、コンビニのコーヒーとドーナツです。
コンビニコーヒーの成功後、各社は“コーヒーのお供”として、新たにドーナツケースをレジ前に設置し、大々的にドーナツの販売を始めました。ところが、こちらはあえなく失敗。
この2つの商品の明暗を分けたものとは、「新たなる市場を開拓できるのか?」それとも「既存勢力とのパイの奪い合いになるのか?」の違いでした。
コーヒーは事前に予想されていた、カフェと顧客の奪い合いにはならず、上手く住み分けすることに成功しましたが、ドーナツはそうはならなかった、ということです。
<その2:伸び代があるビジネスかどうか?>
通常、商品・サービスには「導入期→成長期→成熟期→衰退期」という4つのサイクルがあり、ほとんどのビジネスには寿命があります。
よって、一般的には参入時期が早ければ早いほど、ビジネスの寿命が長くなり、それだけ儲けも大きくなる傾向にあります。
一方で、初期の段階で消えていくビジネスも多いことから、そこでの見極めができるかどうかがポイントとなります。
FCといえども、本部を含めて破綻することは、もちろんあります。
少々、古いデータにはなりますが、1991年~2003年のFCビジネスの存続率は31%と、決して高い数字ではありませんでした。しかし、これは欧米での存続率とほぼ同じくらいの数字だということです(ニッセイ基礎調査研究所報Vol.35、2005年1月より)。
FCにも、市場原理は否応なく働いている、ということです。
Next: 成否を分ける3つ目のポイントは? ビジネスの選定眼を鍛える方法
<その3:独自性があるか?>
ビジネスとして手っ取り早いのは、今売れているもののマネをする(いわゆるパクる)ことです。けれど、それだけでは業界の1番になることは難しく、また市場が変化した場合、対応できずに淘汰されてしまう危険性もあります。
通常、他のビジネスにはない独自性を持つビジネスであればあるほど、差別化しやすく、それがユーザーへのアピールポイントにもなります。
その一方で、それがまだ世の中に存在していない商品やサービスであった場合、世間に認知されるまでに時間がかかったり、実際には思ったほど求められていない可能性も考えられます。そもそも、いくら独自性があったとしても、実現できないアイデアでは意味がありません。
これはFCの事例ではありませんが、スタートアップ企業のセブン・ドリーマーズが2019年4月に経営破綻しています。同社は、自動衣類折りたたみ機で世間の注目を集めた企業でした。負債総額は31億8,000万円に上ります。
当初は、パナソニックや大和ハウス工業などから60億円の出資を受け、経済産業省から有力新興企業「Jスタートアップ」の認定も受けていました(日経新聞Web版、2019年5月23日)。
テレビにも度々出演し、独創的なアイデアを事業化するベンチャーとして名を馳せていましたが、結局は商品化に至らず、売上がほぼない状態でした。
つまり、有名で大手がバックに付いていれば、ビジネスは盤石なのかというと、決してそうとは言えない、ということです。
当たり前の話ですが、大事なのはサービスとして継続していける事業なのかどうか?ということと、そこに真の需要があるかどうか?です。
【有望なビジネスを見分けられるようになる方法】
FCに限らず、どのようなビジネスにも、必ずメリット・デメリットの両方が存在しています。この両面を十分に理解した上で、かつメリットが優っていると思えるかどうかが、事業を選ぶ際のカギになってくるでしょう。
こうしたポイントを念頭に置きながら、「どのようにして自分のお眼鏡に叶うビジネスを探せばいいのか?」と申しますと、一番簡単な方法は、毎年開催されているフランチャイズ(FC)ショーを見に行くことです。
これはぜひ、FCを出店しようと考えている人以外のビジネスパーソンにも、勉強のためにFCショーを見に行くことをオススメします。行くのは1度きりではなく、できれば毎年見に行くのがいいと思います。
見に行くべき理由は、「世の中の動きが見える」からです。
Next: あなたはどのビジネスを選ぶ?フランチャイズショーで見えるもの
フランチャイズショーで見えるもの
たとえば、代表的なFCチェーンであるコンビニ業界を例に考えてみましょう。
彼らはすでに十分、知名度があり、テレビコマーシャルも打っているのに、なぜわざわざ高いお金を払って、毎年フランチャイズショーに出展しているのでしょうか?
現実に、ほぼ飽和状態にあるコンビニが、今もなおオーナーを募集している理由は、出店し続けないと店舗数が減ってしまうからです。
要は、出店していると同時に撤退しているお店も多い、ということです。
万一、店舗数が減少に転じてしまえば、他のオーナーたちも不安になって、離脱者が増える可能性があります。ですから、フランチャイズショーに出ることによって、「この業態はまだまだ伸びる」と世間に印象づけようとしている、と見ることもできます。
最近、コンビニ業界では「24時間営業を取りやめるかどうか?」や「お弁当の値引き販売をどうするか?」といった問題が浮上しています。
どうして、本部が値引き販売や時短営業などを許さないのかというと、自分たちの利益が吹き飛んでしまうからです(なんせ、店舗数が万単位ですから)。
それよりは、加盟店を上手くなだめながら、どんどん新規を募集したほうが、結局、本部はロイヤルティ(加盟店料)を徴収できて儲かるわけです。
こうしたことも、毎年フランチャイズショーを見に行くことで、その背景までが透けて見えてくるようになります。
先ほど挙げた、「最低限抑えておくべき3つのポイント」のうち、1の“競合が多いかどうか”と、2の“ビジネスの伸び代”に関しては、FCショーを毎年見に行くことで、だいたい把握できるのではないかと思います。
毎年、見に行っていれば、いつも出展している常連企業がわかると同時に、初出店のところもわかります。初出店ということは、ほぼ導入期か成長期のビジネスであり、出始めのビジネスは、競合も少ない可能性があります。
2. FCビジネスで成功するには
FCの加盟店は、本部とはいわば運命共同体のようなものです。ということは、本部に万一のことがあった場合、共倒れになる可能性があります。
FCのオーナーにはこのようなリスクがあるために、ある程度の規模になると、複数の業態を持つのが一般的です——
<新刊情報>
この記事の著者・俣野成敏さんの新刊『トップ1%の人だけが知っている「最高のマネープラン」』が7月20日に発売されました。ぜひお手にとってご覧ください。
『トップ1%の人だけが知っている「最高のマネープラン」』
著:俣野成敏/刊:日本経済新聞出版社
次回予告
次回は、「香港最新金融情報」特集をお送りします!
世界トップクラスの金融都市・香港。観光などではお馴染みの香港ですが、実際、金融の仕組みが日本とはどう違うのかは、意外に知られていないのではないでしょうか。
・香港で起こっているデモって大丈夫なの?
・香港は、どうして金融先進都市になることができたのか
・金融機関の利回りはどうやって生まれる?
・私たちが香港から学ぶべき点とは
近くて遠い香港。次回は現地在住の専門家をゲストに迎え、金融をテーマに掘り下げてみたいと思います。次回の特集も、どうぞお楽しみに!
今後の特集スケジュール(予定)
2019年8月
第3回:(Vol.142)香港金融最新事情特集(1)(8月21日配信)
2019年9月
第1回:(Vol.143)香港金融最新事情特集(2)(9月1日配信)
第2回:(Vol.144)賢人の名言から学ぶ(8)(9月11日配信)
第3回:(Vol.145)AIが金融市場を席巻する?!(9月21日配信)
<初月無料購読ですぐ読める! 8月配信済みバックナンバー>
※2019年8月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- 【号外】もし、老後破産が目前に迫ってきたらどうする?(8/13)
- 【Vol.141】「正しくビジネスの将来性を見分ける方法」〜フランチャイズは選択肢に入るか?〜(8/11)
- 【Vol.140】「2000万円問題を解消するために今からできること」〜新刊出版記念特集 その2〜(8/1)
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年8月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2019年8月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編
[月額550円(税込) 毎月5日・20日(年末年始を除く)]
老後2000万円問題、働き方改革、残業規制、等々。政府も会社も「自助努力で生きよ」と突き放す中、コロナ・ショックによるリストラが追い討ちをかけています。自己責任の名のもとに始まった大副業時代を生き抜く術とは?『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社)』『一流の人はなぜそこまで○○なのか?シリーズ(クロスメディア・パブリッシング)』『トップ1%のお金シリーズ(日本経済新聞出版社)』等、数々のベストセラーを世に送り出してきた著者が、満を持して『サラリーマンを「副業」にしよう(プレジデント社)』を発売。マネーとビジネスの両面から、サラリーマンを副業にするための情報をお届けします。