米国のSteven Mnuchin財務長官が、100ドル紙幣の大半が米国の街角から消えて、外国の金庫やタンス預金になっているようだと発言して話題になっています。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2020年1月21日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
どうして? 世界中で米ドル紙幣の現物需要が伸び続けている…
ゴールドで身を守る
2020年1月初頭から、金価格は瞬間的に1,590ドルまで上昇。その後、1,530ドル台に落ちました。急激な上昇の後には、必ず、このような大きな下落をともないます。
Gold先物<COMEX> 日足(SBI証券提供)
金先物市場も大きな博打場であり、参加者は、外為FX取引と同様にほとんどが大きな借金をして、博打をやります。
借金は必ず返済が必要です。その為に、買った物は売らねばならないのです。
となれば、その際に下落が起きます。
先物空売りで売った場合でも、買い戻しが必要になります。その際に上がっていれば損失です。借金で博打を打てば、目論見が外れて大損をすることもあるでしょう。
このような博打場に巻き込まれてはなりません。
そうではなく、自己資金で購入すれば、借金返済のためにすぐに売却せずに済みます。短期で見るのではなく、10年・20年で見れば、これほど強いものはありません。
約10年前に知人に頼まれて、知人の仲間グループを対象に小さな講演会を開きました。その時の反応は、ネガティブなものでした。もうそれ以来、知人に依頼されても、すべて講演会は断っています。
上述の小さな講演会の内容に触発されてゴールドを購入した人は、たぶんゼロか、居たとしても少数だったでしょう。
もし買っていれば、グラム2,000円くらだったでしょうから、その方のゴールド資産は3倍になっているはずです。
今後の重要な視点は、もちろん地政学的なリスクでしょうが、それ以上に重要なことは、公的部門(中央銀行や政府系投資基金)の買い増し、南アフリカの金鉱山等の赤字鉱山での損益分岐点、新産金量の変化です。
街角から現金が消えている?
さて、米国のSteven Mnuchin財務長官が、100ドル紙幣の大半が米国の街角から消えて、外国の金庫やタンス預金になっているようだと発言して話題になっています。
米国の報道を翻訳しながら、要点を解説します。
Next: 100ドル紙幣の80%が米国以外に流通? 現金はどこへ消えたのか…
100ドル紙幣の80%が米国以外に流通
Steven Mnuchin財務長官は、FOXビジネスの番組「Lou Dobbs Tonight」のインタビューに答えて「米国の100ドル紙幣は世界中の銀行の金庫の中に納められているのだ」と説明した。
同長官は、世界各国のマイナス金利政策で、預貯金が目減りするので、人々は、米ドル紙幣を手堅い投資だと考えだしたのだろうと述べ、「米ドルは世界の準備通貨だから、皆が当然、資産として欲しがるものだ。だから100ドル紙幣は世界中に散在しているのだ」と答えた。
連銀のデータによれば、1ドル紙幣の発行枚数よりも100ドル紙幣の方が多いのだ。どんな額面の米ドル紙幣よりも100ドル紙幣の方が多いのだ。100ドル紙幣の数は、2008年の超不況時点から見ても、倍増したのだ。
シカゴ地区連銀の推定では、2018年時点で100ドル紙幣の流通量の80%が米国以外の諸外国で流通している。特に経済が不安定な国々では、米ドルが安全資産として認識されている、とのことだ。
2017年、1ドル紙幣と100ドル紙幣の枚数は逆転へ
上記は、米ドル紙幣の流通枚数の変化のグラフ(1998年〜2018年)です。
赤線:100ドル紙幣
青線:1ドル紙幣
2017年に、1ドル紙幣よりも、100ドル紙幣の枚数が上回ったのです。
上記は、連銀のオリジナルデータです。
Next: 電子通貨は信用ならない?「100ドル紙幣」は世界中で安全資産として認定
「100ドル紙幣」は世界中で安全資産として認定
電子マネー化、暗号通貨等が増えているにも拘わらず、米ドル紙幣の現物需要は伸び続けている。 これは、世界中で100ドル紙幣が現物資産として貯め込まれているということを意味します。
世界中の中央銀行が、追跡可能な電子暗号通貨、幻想通貨に置き換えようと研究しても、果たして成功するのかどうか?
100ドル紙幣の箪笥預金の方が、現物資産として重視されるだろう。翻訳したオリジナル記事では、来たるべき経済危機に備えて、米ドルが安全資産と認識されているとの結論です。
では、ゴールド(現物)はその時に、どのように認識されるのでしょうか?
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・豪州、ドイツ新車販売:2019年12月/(1/20)
・中国、インドの新車販売2019年12月/(1/18)
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※太字はMONEY VOICE編集部による