いま海外移住希望者が増えています。富裕層たちはどの国を選んでいるのか?具体的な国名と人気ビザを挙げながら、資産を増やす方法を解説します。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)
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外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。
海外移住希望者が増えている
日本人や香港人で、海外移住を希望している人が増えていると聞きます。日本の場合も、新型コロナ対策への不満や、これから待ち受ける負担増等に備えるためでしょう。9月からは厚生年金保険料の上限額が引き上がります。
また、日本国内では資産運用が難しいという声も聞きます。日本では、適格投資家の制度が個人には実質なく、機関投資家か一般投資家になるからです。
適格投資家ではないと目論見書の交付が必要となり、そのために日本語に翻訳を待つと時間もお金もかかるのです。海外の新発債等を購入することが難しくなります。
株式やある程度ニーズのあるETF等であれば日本からも問題なく購入できるのですが、債券や海外ファンドや保険に関しては、海外の方が選択肢は増えます。
また、株等に関しても、日本のネット証券では海外REITやETF等も海外のプラットフォームに比べると選択肢が少ないようです。
サービスに関しても、海外の金融機関の場合、金融商品を担保にして融資を受けることができる等の違いがあります。株やETFの場合、リスク商品なので評価額の3割程度ですが、債券、ファンド等の場合、8割程度まで借りることもできます。保険の場合もプレミアムファイナンスができ、初日解約返戻金の8〜9割程度融資をするようです。
海外に目を受けると選択肢が大きく広がる
ウォーレン・バフェットも「レバレッジ」「酒」「異性」をお金を遠ざける3悪と断言しており、レバレッジにはもちろんリスクがあります。
しかし、日本円の預金を担保にして、違う通貨を借りてその通貨建てで債券等を購入し、償還時に借りていたお金を満期金で返すという戦略もあります。この場合、為替リスクは限定されます。
大雑把に言うと、日本円で預金をしているだけでも3%程度の利回りが狙え、キャッシュフローベースでは5〜6%を狙うことも可能です。
現在は債券価格が高めなので、利札の利息は6%前後のものはあるのですが、価格が120円など高めなので最終利回りで計算をすると3%程度まで落ちるからです。
ただ、借りた外国通貨で利息が半年ごとにもらえるので人気がある手法だそうです。
こうした方法は海外の金融機関でないとなかなかできません。その他にも日本生命などの日系企業が米ドル建で発行している高利回りの社債なども人気があるようです。
やはり、元本の安全性のある債券は資産を守りたい人には、依然として人気があります。ただ、債券価格はバブルになっているので今後の先行きを見守りたいものです。株式や貴金属も同じことが言えますね。
Next: 人気の海外ビザは? 日本脱出を本気で考える時期が来た
居住不要。富裕層に人気の海外ビザ「タイランドエリート」
さて、当メルマガでは以前にもフィリピン、タイ、マレーシアなどの「リタイアメントビザ」が取りやすいという話をしました。
今回は年齢にかかわらず最も簡単にお金で購入をできるビザをご紹介しましょう。タイの「タイランドエリート」というビザは、5年間で50万バーツ(約170万円)、20年で100万バーツ(約340万円)の居住権を得ることができます。
居住の必要もなく、安価で購入することができるために富裕層を中心に人気があります。海外住居とビザを得て、それを登録住所にして海外で資産運用をする富裕層もいると聞きます。申し込みはオンラインで完結できます。また、ビザの正規代理店から購入するとサポートがあり、日本人の代理店もあります。
玄人向けのニュージーランド
コロナの影響でシンガポールに住み続けることが難しくなった日本人の富裕層もいて、次の選択肢としては、ニュージーランドも検討されるようです。
上級投資家ビザは年齢制限なし、英語力不問、事業経験不要と実質誰でも申請ができます。滞在義務も3年の投資期間のうち2年間で、年間44日以上居住すればよいだけ。しかし、1,000万NZドル(約7億)以上の投資を行い、3年間継続して投資できる人が対象です。
これに比べるとタイエリートビザの金額のハードルは非常に小さく、日本人の多くが目指すことができそうです。加えて、タイは日本人にとって住みやすい国です。
ヨーロッパも候補地に
また、キプロスも30万ユーロの不動産を購入し、3万ユーロ以上の年収(扶養者が増える場合は年収要件も上がる)の証明、3万ユーロの定期預金を3年間保有する等で投資家ビザが得られ、順調だと数ヶ月で永住権を入手できるようです。相続税や贈与税等がないのでこちらも最終手段として使われるようです。
そのほか、ヨーロッパだとポルトガル、マルタ、スペイン、アイルランド、ギリシャなども投資や不動産購入により発行される長期居住ビザ(ゴールデンビザ)等があるようです(情報は日々変わります)。
金額や要件は国によって変わりますが、居住をして要件を満たすと最終的に永住権や市民権が取れる場合もあります。
Next: 海外に法人を作るという手も。富裕層は全力で富を増やしている
海外に法人を作るという手も
また、シンガポールに法人を作ることはまだ比較的簡単にできます。資産運用専門の資産管理会社を作り、その会社で運用をするという方法です。資産管理会社の場合、個人と同じ条件でプライベートバンクの口座を解説することが可能です。
事業法人の場合、リスクがあるのである程度の規模が求められるのですが、資産管理会社は有利に運用をすることができます。また、配当を出した場合もシンガポールの場合は非課税です(日本居住の場合は日本で納税)。
相続税対策か、リタイアか。富裕層は目的に合わせて日本を出ていく
目的が相続税対策なのか、リタイアのためなのかによって移住するのに選ぶ地域が変わってきます。リタイアのためならば、タイ、マレーシア、フィリピン等のリタイアメントビザ等が入手も容易で、生活費も日本と同程度です。
ニュージーランドやヨーロッパの投資ビザの場合、ある程度の資金も必要になってきます。どちらかというと資産家の相続税対策として考えられるようです。
日本の銀行は「海外送金」に冷たい
最近、日本円を一気に米ドルに変えてETFや株式等を買いました。米ドルが105円前後になったタイミングでした。理由は、米ドルの方が投資対象が広いということです。
多くの海外ETFや株式などは米ドル建てになっている場合が多いです。そのため、日本で眠っていた円預金を米ドルに変えて、海外送金をして、現地のDBSという銀行の投資口座で取引をしました。
SMBC信託銀行プレスティアは「円から外貨 手数料無料キャンペーン」を年末まで行っています。海外送金手数料もオンラインからだと1回3,500円(優遇だと無料から2,000円)です。
※参考:https://www.smbctb.co.jp/service/fees/transferring.html
試しに100万円程度の米ドルを海外送金したのですが、中継銀行で10ドル引き落とされており、10ドル少ない状態でDBSのマルチマネー口座(USD)に1時間程度で着金しました。
4,500円程度の手数料ということです。プレスティアはオンラインだと300万円まで一気に送ることができるので、まとめると手数料は安くなります。また、来店や書面でだと無制限です。元シティバンクだったこともあって、海外送金をする顧客に慣れており、邦銀と比べると海外送金がしやすいです。
邦銀の場合、国内の自分の口座から海外の自分の口座への送金ですら電話がかかってきて、いろいろ質問をされることもあるようです。
中国ですら、500万円まで送金ができるにおかしなものです。
Next: 「海外で運用するなどけしからん」? 日本はかなり遅れている
日本の制度は、海外での運用を邪魔している?
先日、税理士の先生による国際税務の話を聞きましたが、「海外のプライベートバンクで運用をしてお金を増やすなんてけしからん」という発想が税務署にはあるのだそうです。不思議ですね。
今回、プレスティアから複数回、送金をしましたが電話もかかってきませんでした。そもそも、納税済みの所得を移動させるのですから、何の縛りがいるのでしょうか。
マイナンバーの届出の義務化は2022年まで延長をされているようですが、再延長がない場合は面倒な世の中になりそうです。海外在住者まで日本の役所に足を運んで手続きをさせるのは腑に落ちません。必須にするのであればオンラインで申請をできるようにして欲しいものです。
<今回のまとめ>
・海外の金融機関の方が金融商品の選択肢も広く、サービス等もよい
・リタイアのために移住をするなら、タイ、フィリピン、マレーシア
・相続対策なら、ニュージーランド、キプロスなど
・ヨーロッパに住みたい人は様々な国で行なっているゴールデンビザが入り口になりそう
ビザのことを詳しく聞きたいという方は、シンガポールのファミリーオフィスやビザの代理店等とも仕事をする機会が多いので、メールなどからお問い合わせください。
当メルマガはみなさんからのご質問もお受けしているので、ドシドシお願いします。なかなかお金の相談を皆の前でしにくいという方の場合、Zoom等での個別面談も実施中です。
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『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』(2020年8月28日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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