ハリウッドの日本人像と比べてみると?
対して、日本はどのような移り変わりがあったのでしょうか。
詳しく説明しているJapanTodayを参考に解説します。
「ティファニーで朝食を」に登場する日本人男性「ユニオシ」は、ハリウッドでの日本人のイメージとして有名です。
背が低く、黒縁のメガネに出っ歯が当時の日本人の象だったようです。
ただ、悪者として描かれた中国と違うのは、この日本人像、当時はさほど間違った解釈でもなかったということ。
また、女性のイメージについても“ゲイシャ”のイメージが強く、男性に媚びたり、女らしさを全面に出すといったような「性の対象」というイメージが強かったようです。
やはり忍者、相撲、歌舞伎、女体盛りなど、いわゆる偏見に満ちたイメージ上の“日本的”な描写が多く見られました。
しかし近年、日本出身の俳優の活躍も目立ってきています。
大ヒットした「キルビル」の栗山千明や、「インセプション」の渡辺謙の活躍は皆さんもご存知ですよね。
栗山千明 image by: Wikipedia
とりわけ渡辺謙については「ユニオシ」のように背が低いわけでも出っ歯でもありません。
彼の演じた役は日本人に特化した役柄ではありませんでした。
渡辺謙 image by: Wikimedia Commons
ハリウッドでは、もはや著名人となった彼の人気は、それまでの日本人のイメージをものともせず、むしろ国境を越えた俳優としての実力、そして努力の賜物ではないのでしょうか。
とはいえ、1980年代には日本を批判する「ジャパンバッシング」、そして日本を軽視する「ジャパンパッシング」を経て、悲しいかな、今は日本が無視される「ジャパンナッシング」と呼ばれています。
すでに無視され始めている日本だけでなく、ハリウッドでも他のアジア諸国の俳優は中国におされてきています。
やはり人口ナンバーワンの大国は強いようです。
このように振り返ってみると、映画には政治や時代背景が色濃く反映されており、イメージとはある程度操作されてきたものだということがよく分かりました。
それと同時に、私たちも無意識のうちに目にするものから偏見を持つようになっているのかもしれません。
いうまでもなく、ハリウッド映画の影響力は大きいです。
ただ、アメリカとは比較的仲が良い日本ですら「ナッシング」ですから、今後はどうなるのでしょうか。
中国も日本も国や人種にとらわれず、実力でハリウッドに登場する機会がもっと増えることを願っています。
Image by: Denis Makarenko / Shutterstock.com
Source by: アジアン・タイムズ , JapanToday
文/臼井史佳