医学的根拠ありあり、とんでもないインチキ商品を売りつけてたんじゃない、という証拠が出ては格好がつかない?
裁判官 「ま~、形式犯ですのでそこ関係ないですけど、ちょっとあまりやってると時間なくなっちゃうんですけどぉ」
第1回(2月18日)を俺は傍聴してないのでよくわかんないのだが、どうやらこれは広告が罰則規定に触れたというだけの事件らしい。
情状証人2人の尋問が始まった。まずは、2008年にディーセントワークに入社して経理、総務、顧客管理をやってたという56歳の女性。こんな部分があった。
弁護人 「カフェコロンの使用者から苦情はありましたか?」
証人 「ありました。件数は非常に少なかったです。缶がつぶれていた…指定時間に届かなかった…」
弁護人 「使用感については苦情は?」
証人 「ありました。固形の便が出なくなった…浣腸ですから便とコーヒーが混じって液体で出ると説明…納得していただけました」
弁護人 「体調を崩したという苦情は?」
証人 「ありませんでした」
証人自身、「入社以来、毎日愛用」してるんだそうだ。カフェコロンはもともと飲用であり、顧客の2~3割は飲用でも購入してたんだという。
証人が答えられない問合せがあると、吉沢被告人を通して新谷博士に尋ね、個別ケースにあわせて丁寧に、なるべく電話で答えていたんだという。
しかし警察官が証人から録取した調書では、電話で答えたのは、メールやFAXで答えると証拠が残るから、となってるんだそうだ。
証人 「これちょっと違う…でも調書ってのは○○さん(証人の姓)の作文じゃない、自分たち(警察官)が書くもんだからこれでいいんだと…(長く勾留されて疲れ切っていたこともあり)署名してしまいました」
この証人も逮捕され、長く勾留され、しかし罰金か不起訴で終わった…のかな。
捜査段階の調書については、いっつも同様の話が出てくる。検察官が起訴しやすいよう、裁判官が有罪にしやすいよう“良い調書”を取ろうとする警察官の頑張りはわからないじゃないんだが…。
2人目の証人は、吉沢被告人の「9つ違い」の妹。別の会社を経営してるそうで、こちらもセレブ風だ。こんな部分があった。
証人 「新谷先生は世界的な先生と…新谷先生の指導のもと、全面的に信頼し…しかし広告や販売が法に触れるという…姉はもっと知るべきだったと思います」
15時22分、吉沢被告人の被告人質問が始まった。
被告人 「新谷先生…コーヒーによる腸の洗浄…講演を聴いて…(事業化については)先生とお会いして…ご自身30年以上続けて非常に体調がいいと…何度もお会いするうち、人のためになるからと…」
最初の4年間は赤字で「私のほうからは3億円を投入」したんだという。その資金は…。
被告人 「私は40代からビジネスホテルと貸しビルを経営しておりましたので」
弁護人 「平成18年、19年(2006年、2007年)、売上げが伸び始め、ネットの広告を持って東京都へ聞きに行ったのはなぜですか?」
被告人 「広告の仕方では薬事法が問題になることがあると聞きまして」
弁護人 「結果、腸が改善されるとの広告はダメと言われたんですね」
被告人 「先生に相談しまして、コーヒーはもともと飲むもんだから、薬剤は使ってない、だから心配いらないと…私が甘く考えてしまって…」
他の会社から来た人がこう言ってたんだそうだ。
被告人 「ここはクレームのない会社ですね。だいたいどこも5%くらいはクレームがありますよと…」
販売をヤメてから「どうしても欲しい」という声がたくさんあり…。
被告人 「警察の方が、広告が悪いんであって販売はしていいんだと…広告しないなら売ってもいいよ…」
それで、被告人はもう引退し、今は別の会社が販売してるらしい。
最後のほうで検察官がこんなことを言った。
検察官 「警察官が新谷医師に話を聞きに行ったところ、認知症で、意思の疎通が…」
新谷博士は1935年生まれらしい。あらま~。
次回は3月28日(月)11時~11時30分、男性被告人の被告人質問と論告弁論をちゃちゃっとやると決め、16時05分閉廷。
報道とは全く違う「形式犯」、執行猶予は鉄板だ。でも弁護士報酬は4人併せて少なくとも200万円くらいになるのかな…。
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『今井亮一の裁判傍聴バカ一代』
著者/今井亮一
交通違反専門のジャーナリストとして雑誌、書籍、新聞、ラジオ、テレビ等にコメント&執筆。ほぼ毎日裁判所へ通い、空いた時間に警察庁、警視庁、東京地検などで行政文書の開示請求。週に4回届く詳細な裁判傍聴記は、「もしも」の時に役立つこと請け合いです。しかも月額108円!
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